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2004年1月28日

転びキリギリス

もろもろ

はー。引越しが、少なくとも 1 ヶ月、延期になりました。「中古の家を一軒、買う」ということが、こんなにも厄介だとは、思いもしませんでした。新築の家だっていくつも見て回って、それでもここがいいと選んだ中古物件だったのですが。所有権が移らないので、リフォーム業者さんに入ってもらうことすらできません。

そりゃー、わたくしは、普通の人なら当たり前にできるような書類手続きでしょっちゅう、つまずくめぐり合わせになっているらしい人間です。普通の人なら遅くとも3月前半にはすっきり終わっていてしかるべき確定申告を、7月に入っても引きずっていた前科だってあります(3月に出した書類に不備があったと7月に連絡が来たから)。「手続きというものは、決してスムーズには進まないものだ」というのが、信念ですらあります。でも今回にかぎって言えば、私らは悪くないぞ!

なんだか段々、ここまでめぐり合わせが悪いなんて、そもそもローンを組んで家を買うなんてこと自体が間違っていたのではないか、神様がストップをかけているのではないか……という気にさえなってきています。自分の本来の生き方ではないんじゃないか、というような。

この気分、いつかどこかで味わったものにとてもよく似ている――そうだ、就職したときと、結婚したとき。私は本来、もっと根無し草的なギャンブラー的人生を目指していたのではなかったか。いったいどういうわけで、あんなおカタい職場に就職を? 一緒に暮らしたい相手がいれば、別にお役所に認めてもらわんでも勝手に同居すればいいことなのに、いったいどういうわけで、婚姻届なんか出して、「世間並み」がどーとかこーとか親戚一同にやいのやいのと言われながら結婚式まで挙げる羽目に? あんなピラピラの書類に判を押さないと、パートナーとの関係を保っておけないとでも? 住宅ローン! 私とは一生縁のない世界の言葉だと思っていたよ!

なんつーか「大学を出た直後は普通に就職をして、二十代のうちに最初の職場を辞めて結婚をして姓を変えて、三十代で住宅ローンを組んで家を買い、その返済のために夫婦して努力しながら生活していく……」っていう絵に描いたようなコースが、むかしの私にとっては、ものすごく遠かったのですよ。でも、気がついたら、押し流されるように、そういう道をたどっていた。そんなことを考えてしまうこと自体、青臭いなあと自分でも思うけど。結局、自分はすでにレールの敷かれてあったほうに流れたんだなあ、みたいな気分。

若い頃の私はずっと、自分はたとえパートナーがいたとしても法律上は一生独身で、ぷらぷらと翻訳の仕事をしながら、自分の好きなような生活をして、親戚たちのあいだで「あのおばさんは、ちょっともう何を言っても無駄だから」などと陰口を叩かれつつ楽しく無責任に、それでも自分のオトシマエは自分でつけながら、歳を取っていくものだと思っていたのだ。アリさんなんかより、キリギリスのほうが、ずっと潔くてかっこいいと思っていたのだ。その風向きが変わり始めたのは、いつだったのだろう?

後悔しているわけではないんだけど……自分は幸せだと思っているんだけど……どこかで、「後ろめたい」あるいは「申し訳ない」という気持ちがじくじくと湧き出してきているのは、なぜだろう? なにに対する後ろめたさ? なにに対する申し訳なさ?

Posted at 2004年1月28日 15:22

コメント

あーーーー。なんか自分でもまとまってない状態でコメントつけるのはナンですけど、書きたくってたまらないのでスミマセン。私は今のとこキリギリス人生まっしぐらでやってますけど、やっぱどこかで「後ろめたさ」は感じているのですよねー。何だろう。親とか「世間」に対する後ろめたさかしら。そんなの感じる義理はないと思っているのに。アリさんもキリギリスも、何かを(自分を?期待を?)裏切ってしまったような、違和感を感じているのかも……というのは考えすぎでしょうか。

投稿者 To-ko : 2004年1月28日 21:32



あー、そもそも私もまとまってない状態で書いてるので。ははは……。そうそう、「そんなの感じる義理はない」と思いつつ、何故かそこはかとなく湧き起こってくる後ろめたさ。
私のほうも、たとえ当初の思惑どおりキリギリス人生を貫いていたって、やっぱり後ろめたさはあったかもしれない。いや、きっとあったでしょう。
つーことは、どーせどっちでも後ろめたいんだったら、さくっと自分が生きやすいほうを選んだほうが、お得に決まっているんですが。現にそうしているつもりなんですが。むむむ。なんなんでしょうね。

投稿者 ならの : 2004年1月29日 02:31





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