« ブラック・クィリン (Black Cuillin) | 最近 | K.M. ペイトン『運命の馬ダークリング』 »

2004年5月28日

エリザベス・エンライト『ひかりの国のタッシンダ』

読了本 | 書籍・雑誌

久保田輝男・訳、フェリシモ出版、2001年刊。学習研究社から1968年に出たものの復刻版。【Amazon.co.jp】

原書はElizabeth Enright "Tassinda" 1963年刊。【Amazon.co.jp】

もやに包まれ外界から閉ざされている豊かな美しい国タトランの人々は、みんな白い髪と青みどりの目。幼い頃に外界からワシに連れられてやってきたタッシンダだた一人が、金髪と茶色い目をしています。やさしい養父母に恵まれ、織物の才能を発揮し、すくすくとまっすぐに育ちはしましたが、周囲からは「異端者」扱いされ、結婚もできないだろうと思われているタッシンダ。でも実は、子供のとき外見のことでいじめられていたところを助けてくれた王子様にひそかな思いを寄せているのです……。そんなある日、タトランはその長い歴史のなかで初めて「外敵」からの攻撃を受けるのでした。

ストーリー的には特に複雑なところもないファンタジー。まずは、タトランという国の土地や動植物の描写の美しさを堪能。

私たちの観点からすれば夢のような世界に住む、美しく善良で穏やかな人々であっても、自分たちとは髪と目の色が違うだけであるタッシンダを受け入れるのに、ワンクッション必要だった――というのが、よく考えると重く、外見や人種の違いによるいじめや異端視なんていうテーマを読み取ることも可能であることは明らかなのですが。

表紙や本文の挿絵(アイリン・ハース)もとても雰囲気があって素敵です。1968年版で使用されていたイラストそのままだということですが、今見ても全然古臭くない。現在出回っている英語版の表紙(1991年, Katie Thamer Treherne)もきれいだけど。

Posted at 2004年5月28日 09:56



All texts written by NARANO, Naomi. HOME