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2004年6月 7日

P.C. Wrede, C. Stevermer "Sorcery and Cecelia or The Enchanted Chocolate Pot"

読了本 | 書籍・雑誌

Harcourt Books 2003。1988年に "Sorcery and Cecelia" というタイトルで出版された作品。【Amazon.co.jp】。(9月にペーパーバック版も出ます

副題まで含めた正式タイトルは、"Sorcery and Cecelia or the Enchanted Chocolate Pot: Being the Correspondence of Two Young Ladies of Quality Regarding Various Magical Scandals in London and the Country"(魔術とセシリア、あるいは魔法のチョコレート・ポット:ロンドンおよび田舎におけるさまざまな魔法絡みのスキャンダルを綴った良家の若き令嬢二人による往復書簡)。長いよ。

このタイトルで分かるとおり、最初から最後まで、ひたすらに手紙の形式でストーリーが語られます。時は19世紀初頭、ところはイギリス。ただし魔法使いの存在が当たり前に認められていたりもして、微妙にパラレルワールド。

お年頃になった従姉妹同士の二人、ケイトとセシリア。ケイトは社交界デビューのためにロンドンに連れて行かれ、セシリアは不本意ながら「デビューは来年」と言われてエセックス州の田舎のお屋敷に留め置かれます。仲のよい二人は、互いの身に起こることを事細かに書き綴って送り合うことを約束します。

同じ時期、故郷の名士で有力な魔法使いであるヒラリー・ベドリック卿がロンドンの魔法ロイヤル・アカデミーに就任。その式典に出席したケイトは、アカデミーの中をさまよううちに不思議な庭に迷い込み、誰かに間違われて正体不明の魔女に捕まりそうになったところを、危機一髪、逃れます。一方、田舎に残されたケイトの周囲にも、さまざまな怪しい出来事が。どうやら、二人が関わっている事件には、相互につながりがあるようです――

やー、もう、好奇心いっぱいのお嬢さんがた二人のパワフルなお手紙が面白い面白い。かしましいっていうか。どちらのお嬢さんの前にも、本来、事件解決に当たるべき素敵な青年紳士(うち一方は魔法使い)が登場するのですが、プライドや正攻法にこだわる青年たちがもたもたしてるあいだに、きっちり常識的で現実主義のお嬢さんがた、制止の声を振り切ってさくさくと動く動く。

とにかく、19世紀の若い女の子の往復書簡という設定がすごくいい。はからずも巻き込まれつつある邪悪なやつらのたくらみと、社交界デビューのためのドレスのコーディネートが同一軸で語られてますよ。なんせ19世紀ですから、お堅いお目付け役のおば様の目をくぐり事件解決のために殿方に面会するのも一苦労です。設定の勝利だなー。

著者の一人、Patricia C. Wredeは、ノベライズ版『スター・ウォーズ Ep1 ファントム・メナス』『スター・ウォーズ Ep2 クローンの攻撃』を書いた人。

Posted at 2004年6月 7日 16:55



All texts written by NARANO, Naomi. HOME