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2004年8月28日

『LOVERS』

映画・テレビ

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原題は『十面埋伏』、英題が『HOUSE OF FLYING DAGGERS』、主演は金城武、チャン・ツィイー、アンディ・ラウ。ちょっと前までは庶民の視点に即した文芸映画で知られてきたチャン・イーモウ監督が『HERO(英雄)』に続けて放つ、エンターテインメント武侠映画。(公式サイト

なんだかんだとテンション低いようなことを言っておきながら、初日の朝から観て来ましたよ。

すみません、事前にぐだぐだ言って……。もともとの期待値がかなり低かったからというのもあるかもしれませんけれど、予想してたよりずっとよかった。とりあえず、文化の華やかな唐の時代のお話なので、映像は『HERO』のときにも増して美しく絢爛豪華。大画面で見る価値ありだと思いました。特にチャン・ツィイーの舞踊シーンが、おそろしい迫力です。

武侠モノではありますが、観たあとの印象だと、アクション映画というよりも、主役3人の関係性に焦点を当てた恋愛映画として作られたかんじです。ただ、その恋愛部分は、さほど深く描かれてはいない。それぞれが、自分の正体を偽りながら相手に接しているというストーリーなので、2時間のあいだには、さまざまなどんでん返しがあるわけですが、それも含めて、陳腐と言えば陳腐かもしれません。

でも、要するに「様式美」の世界なのかなー、と。

公開前のインタビューなどで、金城武はしきりに、「監督からは『どの瞬間に、何を境目に、ヒロインへの愛情が芽生えたのか』というのが観ている者には分からないように演じる」ことを要求されたと言ってました。

今のこのシーンでは、まだ双方とも「フリ」かもしれない、でももしかしたら、もう「本気」かもしれない、でもやっぱり……と、観客は揺れ動く。生死を賭するような状況を共に潜り抜けてさえ、まだ「本物」の感情かどうかは、はっきりしない。でも気付いたら、理由は誰にも分からないうちに、どっぷりはまっていて、最後には、ああいう結末を迎えてしまう。

だから、感情移入はできない。主役たちに対する、観客の視点は、すごく遠くならざるを得ない。美しい絵巻物を、ぼうっと鑑賞しているかんじ。それがかえって、私には面白かった。

金城くんは、身分を偽ってヒロインに近づいていくのですが、それでも主役3人の中では一番、単純で青臭い役どころですね。むしろ、「偽り」の部分があるために、斜に構えていても透けて見える「青さ」、「純粋さ」が引き立って、魅力に転じているような。こういうのって、金城くんの従来のイメージの延長線ではある。そういう意味では、意外性はないです。意外性なんか別に求めちゃいませんが。持ち味をちゃんと生かしてもらってよかったね、という気持ちです。

それと、あらためて思ったのは、去年の『HERO』のときは「いくらファンでも画面にリンチェイさまが出てれば納得するってわけじゃないんだぞっ、チャン・イーモウ!!」と心の中で叫んでいたくせに、金城くんだと画面に出ているだけでオッケーかもしれないよ、私……。

Posted at 2004年8月28日 17:20

コメント

もうお忘れかとは思いますが、2年前にお邪魔したことがあります。「LOVERS」もほぼ終わり、久しぶりにまたお邪魔してみましたら、ならのさんが存外の(失礼!)熱さで金城君のことを書かれていて、嬉しいやら可笑しいやらでまたちょっと書き込ませて頂くことにしました。2年ぶりの映画だったし、金城君の「頑張りました!」の一言で感無量になってしまい、公開前から色々なことを言われているようでしたが、私はこの映画何度も観に行ってしまいました。思ったとおり色彩が綺麗だったし、ツィイーの踊りも素晴らしかったけど、やっぱり私は金城君の映画俳優としての輝きに魅了されてしまった。「青さ」も「純粋さ」も「猛々しさ」も「切なさ」も色々出てて良かったのではないでしょうか。(感想全部なんて書ききれないけど)「パラダイス!」が大好きな私としては次のジョニー・トー監督「ターンレフト・ターンライト」も楽しみです。「NEEDING YOU」を観た時アンディ兄さんていい男だなと思った記憶があります。この映画もあの軽妙な感じが好きでした。「ターンレフト・ターンライト」もまた何度か観に行くと思います。では。

投稿者 はける : 2004年10月27日 10:57



はけるさん、お久しぶりです。覚えていますよ!『リターナー』公開の前後に、色々お話しましたよね。あらら、私の書いてること、熱い? 熱かったですか? わはは、自分では、これでもかなーり抑え気味のつもりなのに(本気で)。

『LOVERS』、巷ではあれこれ言われていますが、金城ファンとしては概ね満足です。上の感想文では「今までの延長線」なんてことも書いたけど、やはり同時に、今までにない仕事でもありましたよね。

『ターンレフト・ターンライト』、すごく期待しています。ここしばらく、ジョニー・トー監督の作品をたくさん観ていることもあって。原作の絵本も読んだし、あれをどう料理してくれるのか、とても楽しみ。『パラダイス!』とは、脚本を手がけたワイ・カーファイつながりですね。
『LOVERS』と比べればスケール小さいし、あんまり宣伝にお金かけてもらってないし、上映は東京では1館だけみたいだけど、この手の「普通の人」が主人公の作品での金城くんも、とても好きです。きっと、役柄に愛情を込めて丁寧に演じてくれていることだろうと思っています。

投稿者 ならの : 2004年10月27日 20:14





All texts written by NARANO, Naomi. HOME