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2004年9月 7日

今更ながら、ハリー・ポッター5巻

書籍・雑誌

今月1日に日本語版が発売された、J.K.ローリング『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(静山社)【Amazon.co.jp】なんですが、去年の6月に一度読んでいるにもかかわらず、一応、買いました。そして、再読しました。

実を言うと、熱愛宣言とかしちゃってるわりに、日本語版をじっくり腰を落ち着けて読んだのは、今回が初めてかも(あ、映画の3作目を見る前に3巻を再読して予習はしたんだった)。1〜3のときは、とりあえず映画を観るための予備知識を仕入れようと、大急ぎでざざっと読んだかんじだったし、その後、当時まだ訳書の出てなかった4巻でシリーズにどっぷりハマって1〜3巻を再読したくなったときも、ハードカバーを買うお金をケチってしばらくは英語版ペーパーバックでしか持ってなかったし。結局、4巻の日本語版は、(同居人A氏が買ってくれたんだけど)いまだに一度も通読してません。

で、改めて翻訳版に目を通していて、思ったこと。私、比較的新しい子供向け翻訳モノって、ハリポタ以外はほとんど縁がなかったりするんですが、イマドキの児童書って、みんなこんなんなの? あるいは、児童書メインに読んでいた子供の頃の私が気付いてなかっただけで、もとから日本の児童書って、けっこうこんなのが多かったのか?

訳文そのものにケチを付ける気はさらさらないんだが、英語版の原書(UK版)が、わりとオーソドックスに地味〜な本(表紙以外は、イラストさえ皆無)なので、なんだか日本語版で一部の登場人物のセリフのフォントを変えてあったり、歌の場面ではいちいち歌詞に「♪」マークが入っていたり、ハリーが心の中で思っている言葉が薄い色の文字になっていたり……という本全体の造りに、正直、どうも馴染めない。

エレベーターのシーンで、原文では単純に "down button" となっているところが、日本語版では「▼ボタン」と記号で訳してあったり、「文字が書かれたバッジ」の描写をするのに、普通に原文を訳すのではなく、わざわざ本文中に“日本語訳の書かれたバッジのイラスト”を挿入してみたり……そういうのが、正直、大人である私には「あざとい、はしゃぎすぎ、マンガっぽい」と感じられてしまうのだ。想像の幅が狭められているような苛立ちもあるし。

小細工をせずとも原書どおりに訳すだけで充分、力のあるテキストなんだから、テキストだけで勝負してほしいなあ、というような気持ちがどっかにある。

ただ反面、この訳書で、日本中の子供たちが、実際に熱狂しているわけだよね。今までに出ていた翻訳ファンタジーの中にだって、ハリポタと同じくらい面白い(と、少なくとも私は思う)ものはたくさんあったのに、それまであんまり長い本を読む習慣がなかった子たちにまでアピールしたのは、ハリポタだけだ。

それでふと、「もしかしてイマドキの日本の子供って、もう淡々と普通に文章が印刷してあるだけじゃ、満足しないのでは?」と思ってしまったのだった。だとしたら、ちょっと寂しい、と、むかしながらの地味な児童書で育ってきた私は思ってしまうのだが。

地の文で「歌っていた」と言われても「♪」マークが入ってないと実感できないとか。「おどろおどろしい声」で喋る登場人物のセリフは、いくら地の文でそのおどろおどろしさが説明してあっても、やっぱり「おどろおどろしいフォント」で書いてくれてないと、そのおどろおどろしさが伝わらないとか。伝わらないことはないけど、ふつうに地の文と同じフォントで書かれたセリフを読むだけで、声音まで想像するのが、めんどくさいとか。

こういうのって、ライトノベルがデフォルトで「イラスト込みで、ひとつの作品」と見なされるようになってきてるのと、通ずるものがあるのかもしれない。

それとも、そこまで悲観的になることはないのかな? 今まで本を読まなかった子供たちがハリポタを読めているのは、純粋にお話の面白さによるものだと、信じていていいのかな?

それにしても、和訳版の「ハリポタ」、むずかしい漢字が多いなあ。児童書はフリガナ振り放題なので、読めはしますけど。「劈く(つんざく)」とか「啀み合い(いがみあい)」なんて、大人向けの本でも最近はめったに見ないよ(笑)。

Posted at 2004年9月 7日 12:00

コメント

わたしはUS版を持っているのですが、イラストは日本語版よりも写実的?な絵で
私は某登場人物の顔があれ以外でイメージできなくなってる自分に気づきました。
そんで、書体も変えてあるなぁ。日本語版ほどじゃないけど。

>ハリーが心の中で思っている言葉が薄い色の文字になっていたり

これは、US版ではイタリックになってました。
UK版とUS版でもだいぶ違うのね〜
アマゾンでは、US版の方がだいぶ安かったように思うのんだけど、
どっち読んでる人のほうが多いのでしょうね?

投稿者 どら : 2004年9月 7日 15:29



ちょうどパソ前にいるので、わりと即レス(笑)。US版って、イラスト入ってるの?
私が持っているのはUK版の子供用装丁バージョンです。あとでアダルト・エディションのほうがカッコよかったなーと思ったんですけど。

UK版も、イタリック体とかは使ってるんだよー。でもイタリックは、英文書く上では、使って当たり前だから、気にならない。

ほかにもちょっと書体の違う箇所はありますが、どのフォントも個性のないおとなしめなもので、文字自体から特定のイメージを喚起するような突出したデザインのものはないです。和訳版ほど、バラエティあふれるさまざまなフォントを駆使したり、色を変えたりはしてないはず。

US版、たしかAmazonでは予約段階から、定価の半額だったんだよね。日本だとこっちを買った人多いのかな? 私は、イギリスの話なのに登場人物がアメリカ英語を喋ってるのはなんか嫌だ……と、思って、イギリス版を奮発しちゃいました。

投稿者 ならの : 2004年9月 7日 15:52



台風で早帰りしてきた中一の次女に聞いてみました。「ハリポタのフォントいじってあるの読みやすい?」「別に、普通のでもかまわないし、いじってあってもかまわない。」との答えでした。「ライトノベルみたいに絵がないと読めないとか?」「うーん、絵があると楽しいけれど、ライトノベルは軽くって、面白くって、気楽に読めるから読むだけで。」ということで、うちの場合は、あんまり関係ないと言っています。お友達の様子をみていても中学生くらいの連中はもう字面より中身重視らしい。私見では、静山社の本作りのセンスがいまいちなんじゃないかと〜

ならのさんの熱愛宣言を再読して、いったいハリポタのどこがそんなにならのさんを感動させたのか、というのを知りたいと思いました。私はハリポタがベストセラーだから軽いとか思わないんだけれど、最初の方はハリーばかり作者に贔屓されてるような気がして乗れなくて、最近では話の暗さが気になって、一歩ひいたところで見ています。イメージの豊かさや思いがけない展開とかはすごいと思うんだけれども。いつもは好みがそんなに違わないネットの友人達とハリポタでは、意見が違うので、自分のわからないよさがあるのかな?と思っているんですが。うちにある原書はUS版です。安かったから。(長くなってすみません)

投稿者 soke : 2004年9月 7日 16:16



US版は、各章のはじめにイラストが入ってます。
こういうやつ。

http://www.hp-lexicon.org/about/books/op/chapters-op.html

このアンブリッジ教授が頭から離れないの〜

http://www.hp-exicon.org/wizworld/communication.html

ルナちゃんはこんな感じ。もちょっとキョーレツな絵(お帽子かぶったやつ)
があったような気がするんだけど見つからない〜

投稿者 どら : 2004年9月 7日 21:44



おはようございます。台風一過で、カンカン照りだー。

●Sokeさん
おおっ。現役ターゲット層へのインタビュー、ありがとうございます。Sokeさんのお嬢さんやそのお友達は、「普段は本を読まない層」とは程遠そうなかんじだけど。

ただ、たしかにあの静山社版は、かなり松岡さんの趣味入ってるのかなー、とは思います。

ハリポタのどこに感動しているか。うーむ、感動、してるんだろうか(笑)。入れ込んでいることはたしかなんだけど、具体的にどこが琴線に触れているんだか。改めて考えてみたくなってきました。まとまったら、みんなが忘れた頃にいきなり書くかも。

ただ、5巻で過剰反応したのは、非常に個人的なツボをつかれた部分も大きいので、普遍的な「よさ」については、熱愛しつつもよく分かってないような気もします。

話の暗さは……私の場合、1巻からわりと「ブラックな話」として捉えていたので、ようやく本性が出たね、というかんじ。

あと、ストーリーそのものとは関係ないけど、現在進行形で発展中の話で、かつ世界中で共通の話題となりうるくらいに普及していることは、ハマる要素として大きいと思う。国内外の大人ハリポタ・ファンとネットでやりとりすることもあるし。ローリングさんも最近はウェブチャットでインタビューに応じたり公式サイトの運営に力を入れたりとファン・サービスに励んでいらっしゃるし。そういう大勢での盛り上がりに煽られている部分は、正直、あるかも。

『指輪』なんかは、出会った時点ですでに完成していたから、「物語が紡ぎ出されている同じ時代に立ち会っている」という高揚感とか、マニアックに伏線を拾い集めて先を予想しながらみんなでわいわい、みたいなのはなかったものなあ。

投稿者 ならの : 2004年9月 8日 10:20



●どらさん
ほほー。US版はイラストが入ってたのか! 知らなかった!
このアンブリッジ先生、いいなあ(笑)。

ルナちゃんのほうのURL、一文字抜けていたので、再度記入しておきます。
http://www.hp-lexicon.org/wizworld/communication.html

キョーレツな帽子のルナ(静山社版は「ルーナ」でしたね)イラスト、Lexiconの中だと、このページ(↓)の下のほうに1つあるけど、これは本の挿絵とは違うよね?
http://www.hp-lexicon.org/wizards/luna.html

このLexiconのルナちゃんを描いてるMartaさんの個人サイトは前からちょくちょく見ていて、すごく好きです。
http://artdungeon.net/

投稿者 ならの : 2004年9月 8日 10:21





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