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2004年9月10日

『D&D 完全黙秘』

映画・テレビ

1995年の香港映画。ジェット・リー(李連杰)主演。【Amazon.co.jp】

原題は『給■■的信』(■のところは、「父」と巴」が合わさったみたいな漢字。英題は "My Father Is A Hero"。

もう何度も観ているのですが、先日イーキン・チェンの『冷戦』で「パパと息子のほのぼの交流に萌え!」を期待したらあまりにヘヴィな展開でそれどころじゃなかったので、気持ちを浮上させるために、DVDを引っ張り出してきました。『LOVERS』のことを考えていたら、故アニタ・ムイの出てる映画を見たくなってきたという理由もあります。

思えばこれも、『冷戦』と同じく、というかそれ以上に、よく分からない邦題だ。「D&D」って、なんだろう? ジェット・リーとアニタ・ムイの刑事2人を表して、Detective and Detective? 原題や英題が、「ほのぼの親子もの」の側面を強調しているのに対して、日本側はタイトルといい、DVDのパッケージに掲載されているスチル写真の選択といい、とにかく「クールでシリアスな犯罪捜査もの」一辺倒で押し通そうとしているかんじ。実際に映画を観れば、「なんか微妙に違う」とバレバレなのに……。

ここでのジェット・リーが演じるのは、中国政府のために働く警察官ウェイ。真面目でひたむきで妻子を心から愛するマイホーム・パパですが、おとり捜査官としての職務上、仕事の内容は家族にも極秘(邦題の「完全黙秘」はこのへんから?)。正体がバレることを恐れて、家族写真もご法度。そしてある日を境に、香港の犯罪組織に潜入する任務のため、病弱の妻を幼い息子に任せたまま家にも戻れなくなってしまいます。

一方、香港警察の女刑事フォン(アニタ・ムイ)は、強盗事件の現場でウェイに接して本物の犯罪者だと思い、不法入国者(香港がまだ中国に返還されてない頃の話だからね)であるという推測のもと情報収集のため北京に渡り、身分を隠してウェイの妻子に接触。

あらすじ紹介だけを見れば、充分にジェット・リーのみを中心に据えた「クールでシリアスな犯罪捜査もの」に思えるかもしれません。死人も出るし、けっこう陰惨な箇所もあります。ところがこの映画、なぜか全編にわたって、ユーモラスだったりほのぼのしていたり、人情味あふれていたりするシーンが散りばめられているのです。「ワルモノ」の代表者である敵の大ボスの演技自体が、異常にオーバーアクション気味で「コミカル」のほうに針が振れているし。おまけに、すべてが終わって一件落着となりエンドロールに入ったところで流れ始める、あのテンテケテケテケ……みたいな、へなりと気の抜けるテーマ音楽はなんですか(笑)。

とにかく、ジェット・リーが異様に可愛い。「お父さん」で「ベテラン捜査官」な人がこんなに可愛くていいんでしょうかと思うほど可愛い。子役のシー・ミャオくんとのコンビネーションも絶妙です。

シー・ミャオくん、この子がまた、素晴らしい。撮影当時、10歳くらいか? 武術大会の子供の部で優勝経験があるとかで、父親役のジェット・リーと並んで戦ってると、この親にしてこの子ありってかんじの迫力です(非戦闘時の、なんか垢抜けない、ぽやんとしたところも共通)。所作がビシッと決まっちゃってるんだけど、サイズが小さいので妙にけなげに見えたりもして、それがまた可愛いさに拍車をかけます。

そして、アニタ・ムイ演じるフォン刑事! すっごくカッコいいのだ。ウェイ親子が可愛いので、アニタ・ムイの男前っぷりが際立ってます。そもそもジェット・リーが、ちっこくて首が短くて、「どこの坊や?」って体型の人なので、すらりとした長身をひるがえし、さっそうとアクションをこなす彼女の貫禄と言ったらもう。なのに、彼女も時折、可愛いとしか思えない瞬間があるんだよねえ。

香港映画の例にもれず、ツッコミどころはあります。そりゃないぜってところもあります。でも私がこの作品を好きなのは、主要登場人物であるジェット・リーとシー・ミャオとアニタ・ムイ、3人の関係が、きっちり正三角形であるからです。

シー・ミャオくんは、いっちょまえにジェットとアニタを守るし、アニタはシー・ミャオくんとジェット・リーの命を救うし、ジェットは世間一般的には「かよわい女子供」である二人を信頼します。なんか、いいんだなあ。

Posted at 2004年9月10日 22:16



All texts written by NARANO, Naomi. HOME