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2004年9月13日

『インファナル・アフェア(無間道)』

映画・テレビ

2002年の香港映画(公式サイト)。
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DVDで鑑賞。主演はアンディ・ラウとトニー・レオン。これはすごかった。劇場で観なかったことを後悔しまくりです。借り物DVDだったんだけど、絶対に改めて自分用に買って手元に置きます。今から買うなら、9月1日に出たばかりの限定版かねえ。

本当はマフィアの一員なんだけどボスの命を受けて警察学校に入学させられ、見事に出世を果たしたラウ(アンディ・ラウ)と、反対に本当の身分は警察官なんだけど潜入捜査のために表向きは警察学校を退学になって転落し、そこからマフィアの幹部にのぼり詰めたヤン(トニー・レオン)という、二人の主人公を軸としたストーリー。

よくある「敵方の組織への潜入」ネタですが、二人は18歳のときから10年ほども、それをやらされているわけです。直接、命令を下した人物以外は、誰も自分の正体を知らない。バレたら身の破滅と承知のうえで、「敵」のど真ん中から、コソコソと「味方」に情報を流している。想像しただけで、ストレスのあまり身体中がちくちくと痛くなって呼吸困難に陥りそうです。いくら映画の中の話とは言え、そんなことやらせていいんだろうか。現に、ヤンのほうは潜入捜査官という身分を隠したままで、精神科医のところに通っています。

10年も死の恐怖と隣合わせでそんなことやってたら、自分のなかでの本当の所属先だって、段々とあやふやになるでしょう。自分がいる場所、実際に自分の周囲にいる人々に対する情だって湧いてくるでしょう。組織の中で出世してしまえば、保身に走りたくもなってくるでしょう。でも、自分の忠誠心は、常に属している組織とは別のところにあらねばならないのです。自分は「善人」なのか、それとも「悪人」なのか。

とにかく、最後までずっと息を詰めるようにして、ただただ画面に見入っていました。香港で暗黒社会モノとなれば、けっこうアクション・シーンなんかも多かったりするのかしら、と先入観で思ってたけど、そうではなくて、ひたすら主役二人の緊迫感あふれる演技に支えられた、「渋い」造りの映画。脇役陣もみんないいキャストだと思いますが(エリック・ツァン好きだー!)、登場は惜しげもなく最小限に抑えられています。主役たちに焦点が絞られている。

どう決着をつけるのか、話の展開が、まるで読めなかった。ラストは「こう来るか!」と震えが来ました。タイトルの「無間道」(字幕によると、仏教用語で「絶え間なく責め苦にあう無間地獄」のことだそう)が、じわじわ……とあとで効いてくる。

この作品、ブラッド・ピットが惚れ込んでハリウッドでのリメイク権を買ったらしく、ブラッド・ピットによるプロデュースのもと、主演はマット・デイモンとレオナルド・デカプリオだそうですが。ど、どんなものになるんだろう。とりあえず、妙に女優さんの出番が増えていたり、オリジナルの香港バージョンでは真摯に抱擁するだけで終わるシーンがいきなり安直ラブシーンになっていたり――しそうだよなあ。それでも絶対、リメイク版のほうがオリジナルよりも興行成績、いいんだろうなあ。作品全体にただよう「無間道」の概念も、ハリウッド版じゃ、さくっと無視かもしれないなあ。

私も香港映画ファンのあいだでとても評判がよいことを知りつつ今まで観てなかったので、言う資格ないんですが、このオリジナル版、本当にすごくよくできた映画なので、ハリウッド版が実現したあかつきには、ぜひぜひ、こっちに興味を持つ人も増えてほしい。

実はこれは3部作で、9月18日に、続編の『インファナル・アフェア 無間序曲』が公開されるようですが、こっちはラウとヤンの若かった頃の話で、トニー・レオンやアンディ・ラウの出演はなし。でも予告編を見たらこの第2部も面白そうだ。応援の意味でも行くべきかなあ(だって、日本ではトニーさんやアンディさんと比べて知名度の低い若手俳優さんたちが主役張ってるってことは、おそらく興行成績は落ちるし)。近所でやってくれればいいのに。再び、最初の主役キャストに戻る第3部『インファナル・アフェア 終極無間』は、来年公開。

しかし、1〜3を並べると「無間道」、「無間序曲」、「終極無間」ですか……。『スウォーズマン』(「女神伝説の章」、「女神復活の章」)および『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』(「天地黎明」、「天地大乱」、「天地争覇」、「天地風雲」などなど)に続く、新たなる「私の頭ではとっさにサブタイトルとストーリーを結び付けられない香港映画シリーズ」となるに違いない。

Posted at 2004年9月13日 00:05



All texts written by NARANO, Naomi. HOME