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2004年9月27日

『インファナル・アフェア 無間序曲』

映画・テレビ

『インファナル・アフェア(無間道)』の続編。監督はアンドリュー・ラウ&アラン・マック。香港では2003年に公開。(公式サイト

『インファナル・アフェア』から時間をさかのぼって、主人公2人の若かりし頃のお話。アンディ・ラウが演じていた「ラウ」役に1980年生まれのエディソン・チャン、トニー・レオンが演じていた「ヤン」役に1981年生まれのショーン・ユー。前作でも、冒頭で少しだけ出てくる、主役たちの若い頃を演じていた男の子たちです。

もちろん大御所アンディやトニーと比べれば若手スター2人は画面の中での存在感も薄く、どこか頼りないのですが、その青さ、不安定さがそのまま役柄の痛々しさに反映されていて、かえってこちらの「ハラハラ感」を煽ってくれるので、いいんじゃないでしょうか。

正直、観に行く前は「アンディ・ラウもトニー・レオンも出て来ないんじゃ、ちょっと物足りないかなー」なんて思ったりもしてましたが、導入部がひととおり終わってあのテーマ音楽がひたひたひた……と押し寄せてきた瞬間、わーーーーっと気持ちが盛り上がってしまいました。ああ、やっぱりこれについては、俳優目当てというだけじゃなく作品世界そのものが好きなんだな、私は。

前作ではマフィアのボスだったサム(エリック・ツァン)はまだ頂点には上り詰めておらず、前作で警視だったウォン氏もまだ警部。この、主役2人をそれぞれ操っているとも言えるおじさんたちが、今回の映画の陰の主役かも。いつも思うことですが、エリック・ツァンは、不思議な俳優ですね。姿かたちだけを見ればただのチビデブハゲオヤジなのに(笑)、ものすごく人がよさそうな、どうしても憎めないやさしげな顔で、観客の気持ちをぐぐっと惹きつけつつ、どこかカタギではありえない、血みどろの修羅場をくぐりぬけたマフィアを説得力充分に演じてしまう。

この第2部では、第1部において水面下に隠れていたさまざまな事情が語られます。第1部が、「ラウ」と「ヤン」を鏡像のように配置した、ある意味シンプルであるがゆえのストレートな緊迫感に支えられたシナリオであったのに比べると、この第2部は、ラウとヤンの周囲にいる人間たちのどろどろした部分にも焦点が当たっています。「ああ、だから第1部ではあんなシーンがあったんだ!」とか「えっ、そういう背景があって、その数年後にはああなの!」とか、パズルのピースを当てはめていくような面白さ。あの「真空管アンプ」にはやられたなあ。

そして何よりこの映画を興味深いものとしているのは、ストーリーが「1997年7月1日」に向かって収束していくことです。香港が、イギリスから中国へ返還された日。その直前の、不安に満ちた激動の時代に、彼らは生きています。

返還前だと、ラウが上官に面接されるシーンで、上層部の人間がみんな白人でやりとりが英語だったりしちゃうんだよ。へー、イギリス領時代の香港警察ってそうだったんだー。

どんなに暗黒街になじんでも、たとえ血縁の者を裏切ることになっても、あくまで正義の人としての自我にしがみつくヤンに対して、ラウはもともとのスタート地点が「チンピラ少年」であるだけに、警察官としてエリート・コースを突き進む一方で、青臭い直情的な行動を繰り返して深みにはまっていきます。見ようによっては純粋で、見ようによってはずるい。この2人が、第1部のあの2人になっていくのね。

また「潜入」している当事者であるラウとヤンだけでなく、それを命じているサムやウォンも、この段階ですでに深い業を抱え「無間道」に落ちて行っていることが明らかに。うーん、第1部を改めて観たくなるなあ。

細かいところで、「あれ、これは第1部とは矛盾してるんじゃないの?」って思ったとこもいくつかあったんですが、脚本自体のミスなのか、第2部の内容が知られていない段階で第1部の日本語字幕が作られたことによる齟齬なのか、微妙なかんじ。広東語が分からない自分がもどかしい。

もちろん、第1部を観たときのずがーんと打ち抜かれたような衝撃には及ばないけれど、第1部のヒットを受けての「2匹目のどじょう狙い」な作品にしては、とても面白かった。次は、最初から「第1部のつづき」として予定されていた『インファナル・アフェア 終極無間』ですね。すでに海外ではDVDが出ているようですが、がんばって来年春の日本での上映を待つつもり。第1部は、単独でかなりきれいなエンディングを迎えていたので、いったいあそこから、どんな続編を意図していたのかと、どきどきわくわくです。

ところで第2部のエンドロール後に、その『終極無間』の予告編が流れたんですが、新キャラとして投入されるのがレオン・ライだよ! アンディ・ラウとトニー・レオンが並ぶだけでも、充分「濃い」のに……。あまりに「てんこもり」な出血大サービス豪華キャスティングのおかげで、シリアスなシーンが映るスクリーンを目にしながらも無意味な笑いが込み上げてきたのは内緒だ。いや、レオン・ライが出るっていうのは一応知ってたんだけど、実際に見ちゃうとね、ちょっとね。

あ、第1部のDVDに第2部のロードショー割引券がついてたのに、使うの忘れた!

Posted at 2004年9月27日 23:06

コメント

こんにちは。私も先日2を見てきたのですが、1作目の内容を微妙に忘れてて、「ここがあそこに!」というのが薄かったせいか、ちょっと物足りない感じでした。
んが、3作目の予告のレオン・ライには私も大爆笑(?)で。激しく楽しみです。
と、アンディといえば、『マッスルモンク』なぞはいかがでしょう? 最高傑作!とか書かれてますけどー。
http://www.at-e.co.jp/musclemonk/index_content.html

投稿者 ゆっきぃ : 2004年10月 3日 15:16



見終わってしばらく経って頭が冷えた今になってから改めて考えると、「2」は「1」と比べて、1本の映画作品としてのまとまりは悪いかな、と思わないでもありません。「1」を初めて見てからの日が浅かったので、私はすごく面白かったですけど。とにかく「3」が楽しみです。

マッスルモンク! 実はこないだから、めちゃくちゃ気になってるんです(笑)。でも、レイトショー上映しかないんですよね。新宿でこれ見て帰宅すると、日付が変わる頃になっちゃうしなー。同居人が、あまりよい顔しないので(どうしても行くなら、心配だから送り迎えする、と言われてるんだけど、わざわざそこまでしてもらってトンデモ映画(かもしれない)を観るのも、なんだかなーってかんじだし)、迷い中です。同居人も関心を示すような映画ならまだよかったんだけどねえ。

投稿者 ならの : 2004年10月 3日 17:17



『マッスルモンク』の筋肉メイクよりさらに気になるのが、『痩身男女』におけるアンディ・ラウとサミー・チェンの脂肪メイク。
http://global.yesasia.com/jp/PrdDept.aspx/pid-1001815220/did-0/code-c/section-videos/

投稿者 ならの : 2004年10月 3日 19:15



すんごい今更で申し訳ないです。こんばんは。

>脂肪メイク
すごい! すごすぎです!
アンディの仕事を選ぶ基準てどの辺にあるのかすごい気になります!

投稿者 ゆっきぃ : 2004年10月15日 20:49



こんばんは。脂肪メイク、すごいでしょ(笑)。なんか、昔は事業に失敗して借金を抱えていたから仕事を選べなかったが今は選べるようになった……とか言ってるインタビューを読んだことがあるような気がするんですが、選んでコレなのかぁ。

実は我慢できなくて、英語字幕付きのDVDを注文中です。いつ届くかなー。わくわく。

投稿者 ならの : 2004年10月15日 23:23





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