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2004年10月 3日

Diana Wynne Jones "Deep Secret"

読了本 | 書籍・雑誌

1997年の作品。私が読んだのはアメリカ版ペーパーバック(【Amazon.co.jp】だったんですが、「ハリー・ポッター」のようにアメリカ版とイギリス版で中身が違うというようなことはないようです(アメリカ版も単語の綴りや言葉遣いがイギリス英語でした)。

ダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品を読んだのはこれが初めてでした。いやはや、なんと言いますか。ハチャメチャだねえ(←褒めてるつもり)。ほかの作品も、こんなんなんでしょうか? この本からダイアナ・ウィン・ジョーンズに入門したのは、果たして正しいことだったんでしょうか?

主人公(の一人)ルパートは、二十代半ばの眼鏡のお兄さん。職業、プログラマ。性格、真面目。しかし彼には、人には言えない秘密があった。彼は新米の "Magid"(地球担当)だったのだ。

Magidというのは、多次元宇宙の中に何人も存在し、各自が担当する世界の動向を見守り、魔法の均衡に気を配り、物事のなりゆきをあるべき側へと方向付けする任務を課せられた者。この度、新たなMagid見習いをスカウトする必要が生じ、候補者として指定されたのは、地球上の各地域に散らばる5人。しかし、ちょうど同時期、ルパートが掛け持ちで担当する別の世界Korfyros帝国でも、暗殺された皇帝の後継ぎ探しという厄介な問題が持ち上がっていた。

そんなこんなで、ルパートは自宅の東芝パソコンを魔法でKorfyros仕様に改造して後継者情報が入っているはずのディスクのプロテクトを外……そうとしたら、強烈なウィルスのせいでパソコン丸ごとどろどろに溶けてしまったり、Magid候補者を追いかけまわしてへろへろになったりと、悪戦苦闘の日々を送ります。そしてとうとうMagid候補者たちの運命の糸を操り、全員を同じ場所に強引に集めてしまうという非常手段に訴えてしまいます。ところがどうしたわけだか、予想外の要素がたくさん絡んできて、事態はますますめちゃくちゃに……。

一方、もう一人の主人公は、マリー・マロリー。獣医を目指す、ちょっぴり(?)ヘンクツな女子大生。本人の預かり知らぬことながらMagid候補の一人でしたが、ルパートの目から見て第一印象が最悪だったため、早々に除外されて……いたはずが、なぜだか彼女も運命の糸が絡まって、集結の地へと赴くことになりました。行ってみたら、二度と顔を見たくなかったルパートにばったり出会って、お互いびっくり仰天。物語は、ルパート視点の記述とマリー視点の記述が交互に登場する形で進みます。

この、Magid候補生がむりやり集められる場所っていうのが、「SF・ファンタジーのコンベンション」なんですよ。コスプレ集団だのSF作家だの、カタブツのルパートには何が何やらな人種がわんさかいます。会場となったホテルがまた、魔法的に特殊なスポットに建っており、怪しい輩の手で空間が歪んじゃったりして、常人には見えない次元で、さらにあれやこれやと混乱が。混迷を極めるSF大会のようすや、Magidが世界から世界へと移動していく描写、コンピュータに魔法の罠がしかけられているエピソードなどのディテールが楽しい。

とにかく、最初はあまりにも「ごった煮」的にいろんな要素が絡んだてんやわんや状態だったので、いったいどう収束するんだろうってかんじで、目を白黒させながら読んでました。ほんと、にぎやか。それでも、めげずに読み進むことができたのは、登場人物一人一人の面白さのおかげです。生真面目に仕事をこなすルパートの周囲にいるのは、どこか常識外れな人々(ヒトじゃないのも)ばかりで、それぞれがいい味出してます。でもやっぱり一番愛しいのは、状況が裏目裏目に出るのに焦りまくりながら、決して投げ出すことをせずに、とにもかくにも任務をこなそうとするルパートさんだなあ。

そして、目を白黒させながらも引き込まれて読んでいるうちに、なんだかパタパタパタ……と驚愕の事実がいくつも判明し、すべての伏線がつながって「え、え、え!?」ってかんじでした。やー、面白かった。

私たちが生活しているこの世界の均衡を魔法の次元で司る存在が……とかいうと、スーザン・クーパーの「闇の戦い」シリーズなんかを連想してしまいそうになるんですが、このお話のトーンは、苦い要素も含みつつ、あれよりずっと全体的に明るいかんじ。

続編の "The Merlin Conspiracy" は、『花の魔法、白のドラゴン』(徳間書店)として邦訳が出ているので、こっちも読んでみたい。

Posted at 2004年10月 3日 18:57



All texts written by NARANO, Naomi. HOME