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2005年1月22日

岸本佐知子『気になる部分』

読了本 | 書籍・雑誌

白水社, 2000年9月刊。【amazon.co.jp】

著者は文芸翻訳家の人。カバー折り返しの惹句には、「あんな本を訳したのは、やっぱりこんな人でした」と書いてあるのだけれど、実は私、この人の翻訳書を1冊も読んだことがありません。ウェブや雑誌で、ご本人の文章やインタビューを目にして、「面白いことを考える人だなあ」と気になっていたのでした。で、エッセイ集を1冊まるごと読み終わったときには、「こんな人が訳す本なら、読んでみたいなあ」と考えていました。きっと「あんな人が訳したのは、やっぱりこんな本でした」って思うと思うよ。

すごいのは、この人が書くと、おそらくは本当なのであろうと思えることでもなんだかシュールな幻想文学か何かのように思えてきてしまうこと。目のつけどころが、淡々と当たり前のようにずれている。特に印象に残っているのは、正体不明の「塔」を目指して歩いて行くと消防署にたどり着く「ラプンツェル未遂事件」、それから何から何まできのこ尽くしの「『国際きのこ会館』の思ひ出」。

とりわけ、徹底したきのこへのこだわりぶりが恐怖さえかもし出す「国際きのこ会館」は、岸本さんの書きっぷりがあまりにも素晴らしく、もしかしたら時空を超えて限られた人の前にだけごくたまに出現する幻の館なのでは……とまで思って念のためウェブで検索をかけたら、ちゃんと実在していたので、ちょっとだけ安心し、ちょっとだけ驚いた(笑)。現在は「ホテルきのこの森」という名称に変わっているそうですが。「きのこ薬湯風呂やきのこエキス風呂を堪能」できるのも、エッセイに書いてあったとおりだ……。


※いまさらですが、今年の密かな抱負は、「かつて気になってチェックしといたはずだったのにずっと読めてなかった本を読む」です。意欲が続けば、これからしばらくはちょっと古めの本の登場率が高くなるかも。

Posted at 2005年1月22日 19:23

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