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2005年8月 9日

『リーサル・ウェポン 4』(2002.7.20 初出)

映画・テレビ

Movable Typeに移行する前の過去記事を削除したものの、現行の「虫のいい日々」内の記事からリンクして言及しているものと、映画の感想文については、削除したままだとなんとなく落ち着かないので、とりあえず少しずつサルベージしてこっちに再録してみることにしました。

このシリーズ、結局2005年になった今でも、「4」しか見てません。

『リーサル・ウェポン 4』
1998年のアメリカ映画。監督:リチャード・ドナー。出演:メル・ギブソン、ダニー・グローバー、ジェット・リー他。【Amazon.co.jp】


実は、悪役で登場しているジェット・リーことリー・リンチェイが目当てでこれだけ買ってきたので、1〜3は観ていないのです。予備知識もほとんどなし。そしたら、冒頭からいきなりコメディ調なので驚いた。なんとなくシリアスなヒーローものを想像してたので。こういうものなのでしょうか。あとで同居人A氏に聞いたところでは、この刑事である主人公(メル・ギブソン)にも過去にいろいろ悲劇があって大変だったのだということなのですが、この「4」だけ見てたら、相棒(ダニー・グローバー)と漫才ばかりしている、いけすかないおちゃらけ男にしか思えん……。レオとかいう探偵のお友達を理不尽にいぢめるさまは、まるでジャイアンのようだし。楽しいのか? ファンの人は、これ見て楽しいのか? 1 〜 3 をちゃんと見れば、その辺の疑問も解けるのかなあ。大体、主要キャラ全員、やたらテンション高くて疲れるよ……。とにかく、主人公と彼をとりまく人々にまったく感情移入ができなくてまいった。やっぱりシリーズものは、途中から見ちゃ駄目だな。ファンの人、ごめんなさい。

しかし、敵役である中国人マフィアの大物クー(リー・リンチェイ)がかもし出す静謐なカッコよさは、主人公コンビの騒々しさとの対比で、光り輝いていたと言えましょう(おいおい)。階段の上から無言でひらりと飛び降り、メル・ギブソンの動きを封じてしまったりする、あの身のこなしの、なんと優雅で美しかったことか。なんでも、格闘シーンの撮影では最初メル・ギブソンがリンチェイの動きについて来れず、やむなくリンチェイのほうが動きをスローダウンして演技したそうです。でもゆっくり動いても一瞬一瞬がピッと決まって美しいのよー。うっとり。

好きな役者さんがやってるからといって悪役に肩入れするのはイタいようだが、主人公がここまでヤななつじゃなければ、もうちょっと受け止め方は違っていたかも。怪しい中国人の経営するレストランに探りを入れに行くというのは、いいよ。たまたま部屋の隅に黙って立ってた新顔の中国人を誰何してみるのも、別にいいよ。でも英語が分かるかどうか確かめるためにっていきなり罵詈雑言あびせてみたりさ。この時点では、特に主人公に対してなんかしたわけでは全然ないのに、めちゃ失礼じゃんかさ。しかも、出て行くときには特に理由もなく(単に威嚇のために)わざわざレストランの設備を壊したうえに、一般人も食事を楽しんでいるというのにスプリンクラーを誤作動させてお店を水浸しにして帰っていく。あとで聞いたところによると、このシリーズは事件を解決するまでにいろんなものを豪快にぶっ壊しまくるのが醍醐味であるようなんですが、個人的には、こういうのは楽しくないよう。私がクーの立場でも、こんなやつら初対面で大嫌いになるって! 1〜3を見て主人公コンビに親近感を持ってると、こんなシーンでも「やったぁ!」って笑えちゃうのかなあ。うーん、うーん。

そうそう、クライマックスの、最後の対決シーンも、めちゃくちゃ卑怯な勝ち方でした>主人公。そもそも、小柄で華奢な東洋人のクーたった一人に、体格のよい白人と黒人の大男コンビで向かっていくこと自体がちょっと絵としては美しくないね。逆にヒーローがたった一人で複数の悪人に立ち向かったりするんならカッコいいんだけどね。しかも《ねたばれ→》素手で戦う相手を、背後から先の尖った鉄棒を突き刺したり銃弾を撃ち込んで攻撃《←ねたばれ》かよ! こんなんでも、主人公に親近感さえあれば観客は「勝ってよかったね。悪いやつが死んじゃってよかったね」と思えるのでしょうか? ついでに言うと《ねたばれ→》主人公の片割れがクーの大切なお兄さんを拳銃で撃ち殺して《←ねたばれ》しまった後の、クーがそれまでの冷静沈着な態度をかなぐり捨てて悲嘆にくれるシーンがあまりに熱演だったので、うっかり彼が悪役だということを忘れそうでしたわ(笑)。その傍らで主人公コンビが「あーあ、やっちゃったー、怒らせちゃったー、あははははー」ってかんじで無神経に漫才していて、めちゃくちゃむかついたぜ! 本当にいいのか、こんな主人公で!? ハリウッド映画に疎い私でもタイトルだけは知ってたくらいの名作リーサル・ウェポンって、実はこんなむかつくシリーズだったのか!?(ファンの人、重ね重ねごめんなさい。私の感想にはリンチェイ様びいきの視点がものすごく入ってて偏ってるはずなので、気にしないでいてくださるとありがたいです。)

それにしてもDVD付録の出演者インタビュー映像で「今まで25本の映画に出たけど、悪役は初めてなんだよー」などと言いながらでへへへ〜と破顔するリンチェイ様のかわいらしさったらもう。これで当時35歳……。

(2002.7.20)

Posted at 2005年8月 9日 20:21



All texts written by NARANO, Naomi. HOME