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2005年9月23日

『頭文字D THE MOVIE』(字幕版)

映画・テレビ

2005年の香港映画。原題『頭文字D (Initial D)』。監督:劉偉強(アンドリュー・ラウ)、麥兆輝(アラン・マック)。出演:周杰倫(ジェイ・チョウ)、鈴木杏、陳冠希(エディソン・チャン)、余文樂(ショーン・ユー)、黄秋生(アンソニー・ウォン)他。

先週の土曜日(公開初日)に行って来ました。客層が、クルマ好きっぽい人と原作好きっぽい人(この2つは、重なるのか?)と香港電影好きっぽい人のごた混ぜ状態で面白かった。

日本の人気レーシング・コミックを、舞台設定は日本のままで、撮影場所も日本で、香港のスタッフとキャストが映画化。日本国内での上映はほとんどが日本語吹き替え版ということだったのだけれど、敢えて字幕版やってるところを探して鑑賞。

本編のセリフの吹き替え自体は、それほど抵抗なかったんだけど、オリジナル版の主題歌を、日本の新人さんグループのデビュー曲に差し替えたエンドロールがどうしても嫌だったので。やっぱここは、主演のジェイ・チョウがこの映画のために書き下ろした北京語主題歌でしょー。

原作をまったく知らないので、ふつーに楽しめました。舞台設定が日本でも、見事にノリは香港映画でしたが。でも勝負モノ少年漫画にありがちな無駄に暑苦しく現実を超越した雰囲気とかは、けっこう香港映画と相性いいんじゃないだろうか、と思ってしまった。いや、原作を読んでないんだけどさ。

クルマのことはさっぱり分からないのですが、それでもレースのシーンは、身体に力が入っちゃったよ。すごい緊迫感。あと、ヘアピンカーブを見せるための上空からのショットで、日本の山ってきれいなんだわ、と改めて感動しました。

ただ、おうちの手伝いをするためとはいえ中学生の頃から無免許で公道を走ってた子が、そのおかげで免許の取れる18歳になった時点では年齢に不相応な運転テクニックを身につけていたという設定で、良い子は寝ているべき深夜に起き出してきてどー考えても道路交通法違反な走り方で勝っただの負けただのやいのやいの周囲に煽られてその気になっちゃってるような話を、素直に面白がってていいんだろうか?? という戸惑いが最後まで払拭できず。

いや、それを言うなら、私が中高時代に(途中まで)愛読していた同じ作者の漫画『バリバリ伝説』もそうなんだけど、あっちはわりと早い時期に公道を引き上げてサーキットでのレースの世界に入っていったから、比較的すんなり受け入れられたんだと思う。原作ではどうなっているんだろう?

『バリ伝』のみぃちゃんだって、免許を取る前からバイクに乗ってたけど、彼女はお金持ちのパパが小さい頃からサーキットに連れて行ってたっていう設定だったじゃんー。やっぱ無免許で公道はいかんのではー。

頭のカタいわからんちんな感想ですみませんなあ、というかんじですが。これが歳を取るということなのかしら?

それにしても、日本のどこかに、ジェイ・チョウがバイトしていてショーン・ユーやエディソン・チャンがふらりと立ち寄るようなガソリンスタンドが本当に存在するのなら、わたしゃ卒倒しちゃいますよ! 強烈だわー。あと、夏休み中設定なのでほとんど出て来ないけど、ジェイが日本の学生服を着ているよ! と心の中でのたうちまわってみたり(笑)。

これが本格的な映画出演は初めてのジェイ・チョウ、意外とよかった。この、物語が開始した時点ではまだ「誰かと競う」という発想を持っていないマイペースの素朴な主人公は、変に正当派美形の映画スターじゃなくて正解(ジェイ・チョウはちゃんと正当派美形だ、と思っている人がいたらごめんなさい)。一見、淡々としてるんだけど、実はすごい底力ありますよ、という。ただそれって……本業のミュージシャンとしてのご本人のイメージとも、かぶるんだよなあ。だから「演技力」という点では、よく分からん(笑)。まあとにかく、自然体でキュートでしたよ。

主人公の父親役のアンソニー・ウォンは、相変わらず存在感ありました。駄目親父なのに、やたらカッコいい。ここの豆腐屋親子のやりとりは好きだったなあ。

脚本は、長い原作をどの程度、盛り込んだのか知らないけど、「青春のほろ苦い1ページを切り取りました」みたいなかんじにまとめてありましたね。鈴木杏ちゃんのヒロインなんか、すごい中途半端な扱いだよなあ。これで終わったらマジで「通過点」、主人公が次のステップに進むための「踏み台」。続編作るのかしら?

ライバル役の、ショーン・ユーとエディソン・チャン。同じ監督の「インファナル・アフェア」シリーズでは、この若手2人なら断然ショーン・ユーが有望株、と思っていたのですが、この映画では、エディソン・チャンが素敵でした。悪徳警官でも吸血鬼でもなく身体をクニャクニャさせながらラップを歌ったりもしない彼を見たのが初めてだったせいかもしれません(おい)。どのシーンでも表情が決まっていて美しかった。「あれ、この子って、こんな可愛かったっけ?」と焦ってしまいましたもの。しかしこのライバルたち、敵であるはずのジェイに塩を送りまくりでしたが、そんなお人よしなことで大丈夫なんでしょうか?

そしてパンフに掲載されている原作者インタビューで、しげの秀一が主演俳優の名前さえ覚えておらず、「普通っぽいのがよい」だの「イケメンではない」だの言ったあと、彼の業績についてなんのフォローもしていないのを読んで、「ジェイはルックスよりも作曲と歌唱の才能でのしあがったアジア・ポップス界のトップ・アーティストなのに! 日本以外のアジア全域でこの映画が大ヒットしたのは、ジェイ・チョウ人気のおかげなのに!」と、なんとも言えない微妙な気分に。

驚きなのは、日本で発売されている映画サントラCDにさえ、ジェイの歌が入っていないこと。「オリジナル版テーマソング」として、日本バージョンの主題歌と一緒に収録するくらいのことはしてもいいんじゃないか? 挿入歌の「一路向北(All the way north)」なんて、言葉分からなくてもすごくいい曲だと思ったけどなー。そんなにも、「これはもともとは中国語圏の映画です」ということを、一般のお客さんに意識させないようにしたいのか?

特にものすごくジェイのファンというほどでもなく、「わりと好きかも」レベルでちょこっとCD(もらいもの含む)を持ってるだけの私でも、日本での扱われ方を見ていてこんなにイラッとするんだから、真性のファンの人たちは、どんなにじれったくもどかしい気持ちでいることだろう。それとももう、割り切っちゃってるのかな?

Posted at 2005年9月23日 22:41



All texts written by NARANO, Naomi. HOME