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2005年11月30日

2005年11月に読んだ本

読了本 | 書籍・雑誌

やはり今市子はいいなあ。


ロバート・J・ソウヤー『ハイブリッド ―新種―』(ハヤカワ文庫,2005)
うーむ、最後まで、今一つ乗れないままで終わってしまった。なんか、ソウヤー作品にいつも感じられるあっけらかんとした「人のよさ」からくる単純さ、みたいなものが、私にとっては限度を超してしまったかんじ。ソウヤーの精神の根底にある「常識」をくつがえすことはソウヤーにとってはセンス・オブ・ワンダー(って最近は使わない言葉?)で思考の大冒険なんだろうけど、そもそも私はその「常識」を共有できてないんだな、とも思った。キリスト教圏の人が読めば、もっと切実に迫るものがあるんだろうか?【Amazon.co.jp】


三浦しをん『しをんのしおり』(新潮文庫,2005)
親本2002年。ウェブで連載してたのをずっと読んでるので、微妙に記憶に残っていたりもしますが、久々にまとめて読んだら楽しかった。しかしこの連載、いろんな出版社(新潮のほかに光文社と新書館)から加筆訂正付きで出てるので、もう何が何やら。【Amazon.co.jp】


穂村弘『現実入門』(光文社,2005)
一時期、ネット上で流行った「人生の経験値」リストの元ネタとなった、著者がいかに人生経験が少ないかというエッセイから発展して、担当編集者から持ちかけられた、ではいろんなことを実際に経験してそれをエッセイに書いていきましょうという企画。献血から始まって、ブライダル・フェア、健康ランドなどなど……。このような仕事でもなければ決して足を踏み入れることなどなかったであろう領域に立ち入る羽目になって、あわあわしている心境や思わず逃避する心がリアルに描かれるが、やがて段々と連載の趣が変わってきて……。現実入門というわりには、最終話は現実とフィクションの境界のギリギリのような微妙なところで筆が置かれているというのが面白い。【Amazon.co.jp】


平野久美子『食べ物が語る香港史』(新潮社,1998)
英国による領有が始まった1800年代から、中国への返還直後までをいくつかに区切って、それぞれの時代の代表的な食べ物を取り上げ、そこから見えてくる当時から現代(と、いっても本書が出版された頃の「現代」ですが)までの変遷を語る。題材が「食」なので必然的に、上から見下ろしたようなものではなく、人々の生活が見える歴史語りになっていて、非常に面白かった。著者自身の食べ歩き感想がまた、すごく美味しそうで。香港映画を見ていても、ピンと来なかった描写のいくつかがちょっぴり分かったような気になったりもしました。出版時期が1998年なので、思いっきり1997年の「返還」に焦点が当たって、そこへ集約されていくような構成なんだけど、そのあたりの取材の話もまた、著者から見た「香港人」とその他の中華系民族との意識の違いが浮き彫りになっていて、興味深かったです。【Amazon.co.jp】


まついなつき『あしたはワタシのお葬式』(NHK出版,2002)
役立つと思ったミニ知識。(1) 自然葬をサポートする市民団体「葬送の自由をすすめる会」では、海や山に撒く遺骨を事前に粉末化しておくことが定められている。(2) 遺言書には割り印を押す。(3) 遺書とは違って、いわゆる「リビングウィル」(死ぬ前に延命措置や葬儀などについて本人が指示しておくもの)には法的効力はなく、あくまでも意思表示。(4) 「葬儀(宗教上の儀式)」と「告別式(周囲の人間が故人にお別れをする)」は定義としては別物。【Amazon.co.jp】


烏城あきら『発明家に手を出すな』(徳間書店キャラ文庫,2005)
生まれて初めて手にした正真正銘のボーイズラブ小説(汗)。「そこはかとなくBLっぽい雰囲気かもしれない」的なものには、講談社X文庫ホワイトハートなどで、何度か遭遇しているんですが。天才的発明家(25歳男)と弁理士(27歳男)の恋愛物語。ラブシーンはともかく(私は男女カップルが主役のお話でも直截的なラブシーン描写は苦手)、「決して華やかではない、地道な作業をベースとした仕事の、比類なき面白さ」を説得力を持って描いているという点では、非常によかった。私自身が新卒で特許事務所に就職決まったときに所長からプレゼントされた『特許がわかる××』みたいなビジネス書より、よっぽどこの業界に対する意欲を刺激してくれると思うぞ。そうそう、特許明細書にだって、「美しいもの」と「美しくないもの」があるよね! ただ、いろいろと考え込んでしまったりもしたので、そのうち、余力があれば後日もうちょっと長文の感想を書き直すかも(普段BLを読んでない者があれこれ言うと、もともとBL属性のある人には嫌がられてしまうだろうか?)。【Amazon.co.jp】


(ここからは漫画本。)


今市子『大人の問題』(花音コミックスミニ,2005)
8月の読書記録で今市子の『百鬼夜行抄』にハマったと書いたときに、コメント欄でお勧めいただいたものが、ちょうど先月末に文庫化されてたので。もとの単行本は1997年刊行。おおお、これは、すごく面白かったです。『花音』といえばBL雑誌ですが、これはむしろ、内容的には一般向けの本に載っててもおかしくないような(つまり門外漢の目から見ると、「BL的な萌え」を求める人の需要には合わないのでは? という印象でした)。普通とみなされるのとはちょっと違う家族形態や人間関係を背負うことになった人々が、時にじたばたしながら、それでも悲壮になりすぎず、それぞれ幸せになろうとしている姿がいとおしい。どの登場人物に向けられる目も温かい。主人公のお母さんが好きだなあ。強くて可愛くて。【Amazon.co.jp】


今市子『岸辺の唄』(集英社アイズコミックス,2002)
「岸辺の唄」、「予言」、「氷の爪石の瞳」を収録。東洋の架空の土地を舞台としたファンタジー連作。やっぱり絵がきれい〜。シルクロード風の文化で、見ているだけで楽しい。この世界の空気が感じられるような。【Amazon.co.jp】


今市子『懐かしい花の思い出』(朝日ソノラマ,2002)
「懐かしい花の思い出(1994)」、「夏服の少女(1993)」、「眠りにつく前牛乳を(1994)」、「最後の夏休み(1990)」、商業誌デビュー作「マイ・ビューティフル・グリーン パレス(1993)」、「六月病(1994)」、「夜の雫(1992)」、「ユディットの帰還(1991)」、「ユディットの帰還 II(1993)」、「神々の花(1991)」を収録。特に好きなのは表題作「懐かしい花の思い出」と、同人誌に発表されていた「夜の雫」かな。【Amazon.co.jp】


今市子『砂の上の楽園』(朝日ソノラマ,2001)
「砂の上の楽園(1996)」、「僕は旅をする(1994)」、「雨になればいい(1996)」、「夜の森の底に(1997)」を収録。どれも、ちょっとヒネリのある「不思議話」。【Amazon.co.jp】


今市子『孤島の姫君』(朝日ソノラマ,2003)
「赤い袖(1998)」、「沈黙(2000)」、「真夜中の食卓(1999)」、「遺影がない!(2000)」、「孤島の姫君(2001)」、「文鳥マンガ 美しき獣たち」を収録。2つの異なる世界の遭遇を描いた(?)「沈黙」が大好きです。あと、おまけ的な位置付けであると思われる文鳥マンガが爆笑もの。すごいなあ。【Amazon.co.jp】


今市子『五つの箱の物語』(朝日ソノラマ,2005)
連作短編集「五つの箱の物語(1995〜1996)」、「図書館で会いたい(1993)」、「花曇り(1995)」、「へんなやつら(1994)」、「僕らの季節(1993)」を収録。この本に入ってるのは、すべてBL系でした。そんなにあからさまな描写はないので、私でも大丈夫。どの作品にも登場人物のデリケートな心情が細やかに表現されていて、ガラスの箱をそっと開くような神妙な気持ちで読みました。「僕らの季節」なんて、すごくキラキラした、どこか懐かしいような青春物語。【Amazon.co.jp】


小林尽『School Rumble』1〜10巻(少年マガジンコミックス,2003-2005)
同居人A氏がアニメ版にハマってせっせと録画していたので、原作を読んでみた。うーん。時間つぶしにはなるけど、続きを心待ちにするほどには好みじゃないかな。A氏によると、アニメ版のほうが面白いそうなのだけれど。【Amazon.co.jp】


獸木野生『愛でなく』1〜6巻(ウィングス文庫,2005)
PALMシリーズ第6話。急に再読したくなって一気買い。昔の単行本、持ってたはずなんだけどなー。【Amazon.co.jp】

Posted at 2005年11月30日 22:50

コメント

いつの間にか12月となり(^^;;
liberaの賛美歌が心地よい時期となりました(笑)

今市子さんの漫画は「文鳥様と私」2巻を持っております。
今実家でも3羽飼っています。
今市子さんはシリアス漫画もお描きになってたのですね(笑)
(文鳥漫画だけでは生活できませんって(^^;;)
心が疲れたときにはこれを読んで大笑いします。

投稿者 碧 : 2005年12月 6日 17:49



ほんと、いつのまにか12月ですねー。早いなあ。

今市子さん、私はシリアスものから入ってしまったので、短編集の最後に入っていた文鳥マンガのシリーズは新鮮でした。文鳥オンリーの単行本も出ているのですね。

鳥と一緒に生活したことのない私でさえ、こんなに楽しめるのだから、実際に飼っている人が読むと、さらに面白いんだろうなあ。

投稿者 ならの : 2005年12月 8日 00:41



子供のころに文鳥を飼っていたので、
「そうそう」「うんうん」
「文鳥は確かにこんなことしてたよなぁぁぁ」と
大爆笑ですよ♪

投稿者 碧 : 2005年12月11日 14:00



お笑いネタにしつつも、すごくご自分が飼っていらっしゃる文鳥さんたちに対する愛情が感じられる描き方ですよね。
(って、私が読んだ文鳥マンガは別の作品なのだけれど、おそらく共通するものはあるだろうと推測してのコメントでした。)

投稿者 ならの : 2005年12月14日 11:37





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