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2006年4月21日

中野翠『甘茶日記』

読了本 | 書籍・雑誌

毎日新聞社、2005年12月刊。【Amazon.co.jp】

毎年末に出る、『サンデー毎日』に連載していたコラムを中心にまとめたもの。いつもは数年後に文庫化されるまで待って「ああ、あの頃はこんなことがあったねえ」とおぼろげな記憶をたどったりするのが楽しいんだよ、などと思って単行本はパスしているのだけれど、ふと去年出たばかりのを読んでみたくなった。記憶が比較的新しいうちに読む時事ネタも悪くないものですな。

20代前半の頃、将来は中野翠みたいな中年女性になりたい、と憧れていました。その中野さんって、本当のところ、今おいくつなのかしら……と、さっきネットで検索してみたら、1946年生まれだって。今年60歳かー。しかし当然ながら、私の周囲の60歳前後の人たちとは比べ物にならないくらい、今でも中野さんって、頭が固くなってないよなあ。やっぱり、私は歳を取ったら中野翠みたいな人になりたい。ちょっと前までは、中年期を超えたら森茉莉が理想とか思っていたけど、森茉莉ではあまりに傍迷惑な気もするので、やっぱり今の憧れは中野翠だな。憧れるだけならタダだし。

一時期、共感できずに引っかかる文章が増えてきて、あんまり熱心に読まなくなっていたのだけれど、最近はこちらもちょっとは成長したのか、共感できなくても理解ができれば面白く読めるからオッケー、というスタンスで、ふたたび心穏やかに読めるようになってきたような気がします。いやでも実は、成長したんじゃなくて、10年前の精神状態に戻ったのかもしれない(笑)。

ここしばらく、10年前からの自分の古い読書感想文を少しずつ読み返して別ブログで整理しようとしているのだけれど、当時の中野翠の本の感想を読んだら、「ああ、今でも私、同じようなこと、思っているなあ」と、しみじみしちゃったのだ。

イマドキの若い人たちに苦言を呈してみたり、時事ニュースにツッコミを入れてみたりといった現実世界を見据えた文章を綴る一方で、時に植物の根っこなど眺めて


 きっと、イノチあるものはことごとくグロテスクさを免れないものなのだ。生きものが懸命に生きている様子は美しくもありグロテスクでもあり、キレイなだけのものはたぶん偽物。グロテスクと言っていいような何かまで含んだものこそ本物。ほんとうの感動は、美醜を超えたところにしかないのだ……。


なんて、感受性を尖らせた思春期の少女のようなことを書いてみたりもする、そんなところが、ものすごく好きだなあ、と思うのだ。

Posted at 2006年4月21日 12:45

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 初出「サンデー毎日」など。2004年11月〜2005年11月までのコラムをまと... [続きを読む]

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All texts written by NARANO, Naomi. HOME