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2006年4月22日

高橋秀実『トラウマの国』

読了本 | 書籍・雑誌

新潮社、2005年2月刊。【Amazon.co.jp】


本書のタイトル『トラウマの国』とは、傷ついた日本という意味ではありません。自分をはっきりさせる目印を追い求める世界のことです。社会の中に自分があるのではなく、あなたの自分と私の自分が投影し合い、そこに「社会が生み出されるのです。(p.244)

先日読んだ、中野翠『甘茶日記』の中で、面白かった本として言及されていて、興味を引かれました。トラウマのグループ・セラピー、社会人向けの「話し方の学校」、日本共産党、素人が執筆した無数の「自分史」が閲覧できる愛知県の日本自分史センターなどなど、何かを追い求める人々の想いが集うさまざまな場所が取材されています。

『甘茶日記』の紹介文からは、なんとなくナンシー関『信仰の現場』(角川文庫)に似たような、対象と自分のあいだにしっかり一線を置いたスタンスのルポを想像していたのだけど、ちょっと違った。

取材しながら知らず知らずのうちに気持ち的に巻き込まれてしまい、詳しく突き詰めれば突き詰めるほどに対象の輪郭がぼやけていって、世間的なイメージと現実とがずれていく困惑を、困惑のままに書き綴っているような部分もあって。一線を置くというよりは、寄り添うかんじ。

Posted at 2006年4月22日 23:09



All texts written by NARANO, Naomi. HOME