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2007年8月29日

華恵『本を読むわたし My Book Report』

読了本 | 書籍・雑誌

筑摩書房,2006年7月 【Amazon.co.jp】

あの『小学生日記』のハナエちゃんが、いつのまにか15歳になって、hanae*から華恵にペンネームを変えて、こんな本を出していたとは、しばらく気付いていませんでした。1年前の本なのか。現在は16歳なのですね。

初めは、ごく普通の“読書エッセイ集”だと思っていました。でも、違った。

1冊目に取り上げられているのは、『小学生日記』の後書きでも言及されていた、アメリカで両親と一緒に暮らしていて、まだ自分では文字も読めなかった頃に初めて買ってもらった絵本。そこから時系列に沿って、幼稚園に通っていた頃に大好きだった絵本、両親の離婚に伴って日本に引っ越してきた最初の夏休みに読んでもらったお話、小学校で下級生に読み聞かせた本などなど、華恵ちゃんの過ごしてきた時間が、本への思いと一緒に語られます。

『小学生日記』を読んだとき、私はこの、日米ミックスでアメリカ生まれで途中から日本で暮らし始めた彼女が、日本の小学生社会の中に自分の居場所を作っていくにあたって、かなり自覚的にいろいろな思いをめぐらせていたのではないかという感想を抱きましたが、やっぱり、この子はタダモノじゃない。周囲と自分に対する洞察、それを他人に共感できるように表現する言葉の見つけ方。彼女の立場・年代だからこそ持てる視点から考えたことが、そうじゃない人間にも、きっちり伝わってくる。

「子供は心が柔軟で適応能力があるから環境が変化しても心配ない」なんて、オトナはあっさりと言いがちだけど、そんな簡単に片付くもんじゃないよね(と、25年ほど前の帰国子女は思うのだった)。

敢えて注文をつけるなら、これは著者ではなく、本そのものを作った人へのお願いなのですが、せっかく巻末に書誌情報を付けてくれるのであれば、たとえば華恵ちゃんがアメリカ時代に好きだった絵本 "Madeline" の邦訳版タイトルは『元気なマドレーヌ』(福音館書店)であり、本文中で「マデリーン」として認識されてる女の子はこちらでは「マドレーヌ」として知られていることとか、そういう情報が、もうちょっと親切だといいなあ。日本人向けに。

Posted at 2007年8月29日 09:09



All texts written by NARANO, Naomi. HOME