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2007年8月31日

2007年8月に読んだものメモ

読了本 | 書籍・雑誌

ところで明日(9/1)は、当サイトの11周年記念日です。開設当時からずっと見に来てくれてる人って、(今でも交流があってこちらで分かっている人たち以外では)どれくらいいらっしゃるんでしょうね。

まあなんにせよ、昔から見てくださっている方も、もっとあとになってからのお客さまも、ごく最近になって流れ着いた方も、ありがとうございます。サービス精神旺盛なサイトではまったくないというか、自分用の覚書としての要素のほうが強いようなかんじの運営ではあるのですが、自分以外の人間によるアクセスが皆無というのも、想像してみると寂しいものですから。

とにかく、以下が今月読んだもののメモです。暑さにめげて、本当なら遊びに行くつもりだった日でも、ずるずると引きこもって本を読んでいたりしたので、先月に引き続き、いつもと比べれば冊数が増えてます。

でもお勤めしていた頃(ここがまだ「読書感想文サイト」を名乗っていた頃)は、通勤電車の中がヒマだったので、もっとたくさん読んでたんだよなあ。



桜庭一樹『青年のための読書クラブ』(新潮社,2007年6月)
 東京の名門ミッションスクール「聖マリアナ学園」のさびれた片隅に部室を有する「読書クラブ」。そこに集うのは、異端の少女たち。学園の正史には記されない出来事を、一人称を「ぼく」とする彼女たちは匿名でクラブ日誌に綴る。
 やー、ここまで“女子校”をカリカチュアライズしてくれたら、もう笑って読むしか。でもどこか、なにか、ツボを突いてくるところがある。カリカチュアによって余計に浮かび上がる、この年代のある種の女の子たち特有の自意識とか潔癖さとか滑稽さとか高潔さとか。【Amazon.co.jp】


桜庭一樹『少女七竈と七人の可愛そうな大人』(角川書店,2006年7月)
 「たいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった」少女“七竈”を中心に、周囲の大人たちや、同じく美しく生まれてしまった幼なじみの少年“雪風”、七竈の家で飼われている元警察犬のビショップなどを語り手としながら進んでいくお話。
 これは、なんとも表現しにくい面白さでした。面白かったことだけは、はっきりしているのですが。全体の文章のトーンは淡々としているのだけれど、敢えて過剰な表現、敢えて抑制された説明、敢えて奇妙なディテール、敢えてズレてる会話、敢えて感傷的な情景。で、読み終わった時点での気持ちはきゅーんとしている、という。狙ってコレをやってるというのはすごいなあ。【Amazon.co.jp】


Debbie Macomber "The Shop On Blossom Street" (Mira Books, ペーパーバック2005年5月/ハードカバー2004年8月)
 小さな毛糸専門店とその周辺を舞台とした、さまざまな世代の女性たちの生活と友情。別途、感想文を書きました。【Amazon.co.jp】


デビー・マッコーマー『木曜日の朝、いつものカフェで』(訳:石原まどか/扶桑社セレクト,2003年4月)
 原書は、Debbie Macomber "Thursdays at Eight" (Mira Books, 2001年)。同じ著者の "The Shop On Blossom Street" が気に入ったので、日本語訳が出ている作品を探してみた。しかし。うーーーーん。これ、先に "The Shop On Blossom Street" を読んでなかったら、すごく面白く読めたと思うのだわ。しかし、「さまざまな問題を抱える、異なった世代と立場の女性たちが」「ひょんなことから定期的に顔を合わせることになり」「友情を育みながら前向きになっていく」って…… "The Shop On Blossom Street" と一緒じゃん! 章ごとに視点が変わるとか、各章の冒頭に引用文があるとかってパターンまでおんなじ。しかもメインキャラのうちの1人は、毛糸屋さんだったり(笑)。
 ただ、そうはいっても、途中で放り出す気にはならないくらいには、面白いのだな。それぞれのキャラのうだうだ具合(「日記の書き方講座」で知り合ったという設定なので、作中にそれぞれの日記が挿入される)が、「うんうん、分かるよ」ってかんじで。こっちのほうが、「女同士の友情」が強調されてるかな。【Amazon.co.jp】


Anne Rice "Christ the Lord: Out of Egypt" (Ballantine Books, ペーパーバック2006年10月/ハードカバー2005年11月)
 初めて読んだアン・ライス作品。イエス・キリストの7歳から8歳までの日々(物語のこの時点ではまだ「キリスト」の自覚はありませんが)を、一人称で綴っています。別途、感想文を書きました。【Amazon.co.jp】


平安寿子『くうねるところすむところ』(文藝春秋,2005年5月)
 先月読んだ『あなたがパラダイス』が面白かったので、同じ人の本をもう1冊読んでみた。なりゆきで主婦から経営者になってしまった工務店の女社長(プレッシャーを背負って逃げ腰気味)と、勢いで転職情報誌の編集部を辞めてそこに勤めることになってしまった、30歳の女性社員(やる気まんまんだけど、ともすれば空回り気味)。やけっぱちな気分の描写のテンポのよさとか、けっこう好き。徐々に進むべき道が見えてくるあたりも、嫌味なく入ってきます。【Amazon.co.jp】


堀井憲一郎『若者殺しの時代』(講談社現代新書,2006年4月)
 上の世代が「若いことはいいことだ」という段階で思考停止しているせいで、実際に現在、若者である人たちはけっこうしんどいことになっている、それが始まったのは、バブルで世の中が騒がしくなり始めた1980年代前半ではないか、80年代に入ったあと、途中で曲がり角があって、間違った出口から出てきちゃったんだよ、でもそのままずーっと歩いてきちゃったんだよ、みたいなこと言ってる本。
 「クリスマスが恋人用イベントとして扱われ始めたのはいつからか」とか「東京ディズニーランドが若者の聖地となったのはどのあたりからか、みたいなことを、雑誌記事などを実際に調べてデータを出しているのが面白かった。テレビドラマに出てくる携帯電話の位置づけの変遷、とか。私自身は、バブルの頃は「若者」というよりは「お子様」カテゴリーな生活だったので、いまさらながら「ほほー、あの頃、(若い)オトナの人たちの世界は、そんなことになっておったのか」とか思ったりして。【Amazon.co.jp】


アニー・M・G・シュミット『ネコのミヌース』(訳:西村由美/徳間書店,2006年6月)
 児童書です。原書はオランダの作家 Annie M. G. Shmidt による "Minoes"(1970年)。文才はあるのに、知らない人に取材をするのが苦手でニュース記事が書けずにいた新聞記者のティベが、明日にはクビになるという瀬戸際のときに、ついこのあいだまでは猫だったという若い女性ミヌースに出会います。実際この人、しぐさも習性も猫そのものだし、近所の猫と意思疎通ができるみたい? ティベは猫たちが見聞きしてきてミヌース経由で教えてくれる情報の裏を取ることでなんとか記事が書けるようになったのですが、ある日、猫しか証言者がいなくて記事にできない、でも事実なら見過ごすわけにはいかない事件が……。現代日本でアニメ化されたら、絶対「萌え絵」にされちゃうに違いない、ミヌースさんの猫っぽい言動が、いちいち可愛い。ほんわか〜とした読後感。【Amazon.co.jp】


中村優子『アジアの迷宮 奇妙奇天烈雑貨づくし』(JTB,2003年3月)
 ちまちまとした雑貨は、アンテナに引っかかったものをいちいち買っているとキリがないし、置くところもなく整理も大変なので、いつしか自粛して明確に必要なもの、役に立ちそうなもの以外はあんまり買わなりました。でも、実用性度外視な雑貨の写真を見たり解説を読んだりするのは、今でも好きだなあ。【Amazon.co.jp】


大原まり子・藤臣柊子『ブランドの花道』(アスペクト,1998年12月)
 9年前の本ですが、この中でしきりに当時エルメスがブームで国内ではすごい品薄だったということが言われており、そうだったのかー、と。縁がないのでまったく気付いていませんでした(笑)。自分では、高額のお買い物はそうそうできるものではないが、モノに対して愛情を注いでいる文章を読むのは好き(上記の雑貨本もそうだけど)。大原さんなんて、1日で180万円のお買い物(エルメスの皮のお洋服2点)とは、すがすがしいほどに剛毅ですなー。すみずみまで技術の行き届いた高級品を正当に評価できる目とそれを購入できる経済力を持った人が、ハマってしまう気持ちは、分かる気はする。
 私自身は、今のところ、自分で買うものは特に高級品でなくていいかなあ。亡母のものだった30年近く前の某海外ブランドのオーソドックスなバッグなんて、たしかにとても使いやすくて革も縫製もしっかりしており、母がこれを買った年齢に追いついた頃からは、ついつい手に取ってしまったりするのだが、そんな古い商品でも正規代理店に持ち込めば壊れた金具をさくっと交換してもらえたり(しかも、こんな古いものなのに、お店の人は随分と丁重に扱ってくれましたよ)といった経験をしてしまうと、感動するよりむしろ、自分の寿命もこのカバンの寿命より短いのかも……みたいな、なんとなく物悲しく儚い気持ちに。いや、どっちにしても、自分では買えないんだけど。【Amazon.co.jp】


華恵『本を読むわたし My Book Report』(筑摩書房,2006年7月)
 あの『小学生日記』のhanae*ちゃんが15歳になって綴った読書エッセイ……というより、常に書物と共にあった彼女の成長記録とも言える内容。別途、感想文を書いています。【Amazon.co.jp】


以下、漫画本。


細川貂々『ツレがうつになりまして。』(幻冬舎,2006年3月刊)
 うつ病になったダンナさんとの闘病生活を、ほのぼのとして絵柄で前向きに素人にも解説してくれてる漫画本。別途、感想文を書いています。【Amazon.co.jp】


細川貂々『イグアナの嫁』(幻冬舎,2006年12月刊)
 フリーランサーとはいえ、実質はアルバイトで食いつなぐフリーター夫婦だったツレさんとテンさんが、たまたま近所のペット屋さんに間違って仕入れられたイグアナのイグちゃんを1000円で引き取ることになってからの、ふたりと1匹生活。イグちゃんの飼育費のためにツレさんが正社員として就職をしたり、触発されたテンさんが積極的に漫画のお仕事を取りにいくようになったり、イグちゃんと暮らしながらツレさんのうつ病を乗り越えたりといったことが、やはりほのぼのとした絵柄で語られます。
 『ツレがうつになりまして。』がうつ病の説明に焦点を絞っていたのに対して、こちらはなかなか生活の方向性が定まらずにいた夫婦が、イグアナくんに見守られながら、徐々に落ち着くところに落ち着いていった記録、そして著者テンさんの側から言えば、少女漫画家としてデビューしたけれどしっくり来てなくて前向きになれずにいたテンさんが、現在の独自路線を見出していくまでの記録でもあります。
 やはり、一歩前に踏み出してみないことには、進展はないのだよなあ。私は行き詰まったとき、それができるだろうか? いや、してみないことには、何も始まらないのだ。【Amazon.co.jp】


荒川弘『鋼の錬金術師』第17巻(スクエア・エニックス,2007年8月)
 アームストロング家って、なんだかすごい。【Amazon.co.jp】


諏訪緑『諸葛孔明 時の地平線』第14巻(小学館,2007年7月)
 最終巻。ああ、この漫画の存在を知って13巻までを一気読みしたとき、「これからも楽しめそうなシリーズに出会えて嬉しい」って思ったのに、実は14巻で完結だったのか。13巻まで読んだ時点で書いた、シリーズ全体の感想はこちら
 孔明さんは最後まで、私利私欲にとらわれず大局を見通す、軍師だけど平和主義の人としてさわやかに描かれていました。この巻の最初のほうで、ようやく許婚の英さんと結婚することになるのですが、互いの意思確認ができたら次のページからは再び政治話一辺倒になって、甘い描写はほぼ皆無です。少女漫画としてはずいぶんと大胆な気がしますが、この作品には、似つかわしいような気も(笑)。【Amazon.co.jp】


獸木野生『蜘蛛の紋様 1』PALM 30巻(新書館,2007年8月)
 前々からタイトルだけは予告されていたエピソードが、ついにスタート。主役3人のうち、過去話がなかった最後の1人、カーターの生い立ちです。オーガス家には、こんな複雑な背景事情の設定があったのですね。冒頭のジョイによる小説という設定の部分、ジェームス亡きあとの遺された人たちの状況、これはいったい、どう受け止めればいいのか。シリーズ全体を最後まで読んだら、これが彼らのたどるべくしてたどった道なのだと思えるようになるのだろうか。【Amazon.co.jp】


安野モヨコ『働きマン』第4巻(講談社,2007年8月)
 ヒロインが決して颯爽と仕事をこなしているわけではなくて、いっぱいいっぱいななかで、あっぷあっぷしながら、それでも一時しのぎ的にガス抜きのネタを見つけたりしつつ目の前のことに全力を注ぎつつやっていくさまに、ぐっと来るものがあるのでした。今後どうなるのやら。【Amazon.co.jp】

Posted at 2007年8月31日 08:59



All texts written by NARANO, Naomi. HOME