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2008年1月 7日

2007年に出会った本と映画から

書籍・雑誌 | 映画・テレビ

どもども。家人の年始休暇も昨日で終わって、日常が戻ってきたので、そろそろと出てまいりましたよ。今年はさしあたり、ゆるゆるのんびり適度なマイペースを目指してみるつもりです。去年は(というか、思えばここ数年ずっと)、実生活上ではちょっと外部要因に振り回されすぎてたし、自分自身をも含めたあちこちに対して同時に「いい顔」しようとしすぎて実質的に破綻してました。己のキャパを知れっつーの。

そんなこんなでのんびりした結果、要らんことを考える機会が増えてつらつらと瑣末なことを書き綴るようになり、更新回数が増えるのか、はたまたあれこれと興味の対象が拡散してネットに割く時間が減り、これまでよりさらに寂しい更新頻度になってしまうのか、このブログに関しては半分なりゆき任せでGO!な気分ではありますが、少なくともいつだったかのように、生存報告にもならないくらい放置して「心配しています」とメールをもらってしまうようなことにはならないようにしますので(目標値、低すぎ?)、引き続き本年もよろしくお願い申し上げます。

さて。さっそくマイペースっぷり発揮で我ながらちょっとどうかと思いつつ、今さらながら、本当は年末に出しておきたかった、「2007年に読んだ本と観た映画のなかで特に印象に残ったもの」リストを挙げてみます。

最初、3点ずつにしようと思ったら迷いまくったので、結局5点ずつ。そもそも、大した数を読んでないし観てないので、ランクイン率がとても高くなってしまうのですけれど。

作品として高く評価している、ほかの人たちにも自信を持っておすすめ――というより、「自分にとって、ほかでもない2007年にこれを読んだ(観た)ことには大きな意味があった」というような観点で選んでいます。

だから、敢えて「ベスト5」とは言いません。順位もつけません。


《2007年に読んだものから5点》

J. K. Rowling "Harry Potter and the Deathly Hallows" (Bloomsbury)

何年もにわたって追いかけてきた「ハリー・ポッター」シリーズが、ついに完結。

前にも書いたように、決して手放しで絶賛しているわけではないのですが、やっぱり感慨深いものがありました。そして、これだけ世界中で盛り上がった物語の最後までをリアルタイムで新刊として楽しめて、ほかのファンの人たちと何年間も一緒にあーだこーだと語り合えたのは、それだけでも貴重な体験だったと思っています。〔関連記事〕


島村麻里『女はみんなミーハーです。』(河出書房新社)
島村麻里『ロマンチックウイルス―ときめき感染症の女たち』(集英社新書)

「そこそこの年齢に達した女性が、ある日いきなり、マスメディアに出ている情報だけをもとに、芸能人に思い入れしてしまう」という状況について、私のなかでは、正直いまだにあれこれ戸惑いや葛藤があります。でも島村さんは「現実の生活に支障をきたさず他人に迷惑をかけないよう定期的に自己チェックができるのならば、悪いことじゃない」派。考え方がいろいろ参考になりました。

結局まだ自分自身では、本当に納得のいく結論は出せていないので、常にスタンスがふらふらしていますが、今年もあれこれと自問しつつ、私なりにファンを続けてゆこうと思います。〔関連記事〕


諏訪緑『諸葛孔明 時の地平線』全14巻(小学館)

去年8月に完結した、三国志を題材とする少女漫画。この作品において作者が諸葛孔明に語らせている政治上の展望は、確実に「現代の価値観」に根差した理想論に基づいて構成されていると思うのだけれど、とにかく読み応えあったし、引き込まれて面白かった。絵柄も好み。〔関連記事〕


Cassandra Clare "City of Bones (The Mortal Instruments: Book I)" (Walker Books)

これは、去年のうちにちゃんと独立した感想文を書こうと思っていたのに、果たせなかったなあ。実は私は、クレアさんがアマチュア時代(職業ライターではあったので厳密には完全なアマチュアではないかもしれないのですが、フィクションを商業出版したことはありませんでした)にネット上で発表していた小説(現在はネット上から削除されています)が大好きだったので、プロ作家デビューが実現してとても嬉しい。〔関連記事〕


2007年に観たものから5点

『傷だらけの男たち』(2006年,香港)

原題:傷城/Confession of Pain
監督、製作:アンドリュー・ラウ
監督、脚本:アラン・マック
脚本:フェリックス・チョン
出演:梁朝偉(トニー・レオン)、金城武、シュー・ジンレイ(徐静蕾)、スー・チー(舒淇)ほか

映画では、これをトップに挙げないわけにはまいりません(笑)。すでに語りつくした感があるので、これ以上は自粛。2月にDVD発売だ!〔関連記事〕


『グブラ』(2005年,マレーシア)
『ムクシン』(2006年,マレーシア)

原題:Gubra/Mukhusin
監督:ヤスミン・アハマド
出演(G):シャリファ・アマニ、アラン・ユンほか
出演(M):シャリファ・アリヤナ、シャフィ・ナスウィブほか

一昨年VCDで観た『細い目 (Sepet)』(1回目感想)(2回目感想)の後日譚および前日譚。どちらも非常に印象深い映画でしたが、ぐるぐると考えすぎて、具体的な感想文を書けないでいるうちに年をまたいでしまった。ああ、上映情報を教えてくださった方にも、感想をウェブに出しますと言ったのに、すみません。でもこの2作については、そのうちぜひ、自分の思うところを文章にしてみたい。

『ムクシン』のほうが、映画作品としてのまとまりはよいように感じたし、実際とても好きなシーンが多いのだけれど、『グブラ』には、後半からラストにかけて、なにか圧倒的な迫力があり、どちらか片方を選ぶなんて無理でした。

単に、「ふーん、光良の生まれた街でロケしてる映画か、そしてヒロインは金城武ファンか」というだけのことが、きっかけになって観てみたシリーズでしたが、この監督さんの映画は、そういうこと抜きでも、すごくツボです。マレーシアが舞台だからこその問題と、その他の国の人間にとっても切実である普遍的な問題が渾然一体となって提示されていて、さらに映画として単純に面白いの。

新作(このシリーズではないらしいけど)も日本で公開されて、観にいくことができればよいのですが。


『靴に恋する人魚』(2005年、台湾)

原題:人魚朶朶/The Shoe Fairy
監督:李芸嬋(ロビン・リー)
出演:徐若[王宣](ビビアン・スー)、周群達(ダンカン・チョウ)ほか
(日本語公式サイトhttp://www.ffcjp.com/kutsu/)

年末に、英語字幕のDVDで観ました。どこまでもどこを切り取ってもとにかく洒落てて可愛らしい画面と、ちらちらと見え隠れするブラックさ、それでもまっすぐ健やかなメッセージ性。非常に好みだったので、そのうち特典映像が付いてる日本語字幕版のDVDも欲しい。


『呉清源 極みの棋譜』(2006年、中国)

原題:呉清源/The Go Master
監督:田壮壮(ティエン・チュアンチュアン)
脚本:阿城(アー・チョン)
出演:張震(チャン・チェン)、柄本明、松阪慶子、伊藤歩、南果歩ほか
日本語公式サイト

1928年に14歳で中国から日本に囲碁留学してきて、その後、日本に帰化し、現在は小田原市に住んでいらっしゃる、実在の棋士・呉清源さんの伝記映画。11月に映画館で観ましたが、席に着いて周囲を見回したら、年配の男性(ほぼ「おじいさん」と呼んで差し支えなさそうな)がたくさんいらっしゃいました。皆さん、囲碁がご趣味なのでしょうか。

並ぶもののいない天才棋士による、対局での駆け引きや勝負の緊迫感を延々と描写するような作品になっているのかと思いきや、どっちかというと「たった14歳で故郷を離れ、しかもその故郷と留学先のあいだで戦争が始まってしまい、家族とも別れなければならなかった人が、何を心の拠りどころに日本の昭和を生き抜いていったのか」というようなことに重心が置かれている感じ。

しかし点から点へ飛ぶように、あいだの説明を極力排して淡々とエピソードを連ねていく構成が、「碁」というゲームそのもののイメージとも、どこかつながるような。中国人の監督・スタッフが撮った「日本の昭和の風景」がとても美しくて、溜め息が出そうになりました。

あと、チャン・チェンにあんなに和服が似合うとは思わなかったよ。


***


今年は、去年よりは時間的にも気持ち的にも余裕があるはずなので、もっといろいろインプットを増やせるといいなあ。まずは、年末の掃除で発掘された未読本の消化から!

Posted at 2008年1月 7日 08:36



All texts written by NARANO, Naomi. HOME