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2008年1月25日

よしながふみ『あのひととここだけのおしゃべり』

読了本 | 書籍・雑誌

あのひととここだけのおしゃべり

太田出版(2007年10月)【Amazon.co.jp】

漫画家よしながふみの対談集(一部は鼎談)。相手はやまだないと、福田里香、三浦しをん、こだか和麻、羽海野チカ、志村貴子、萩尾望都。三浦しをんとの対談は、間を置いて2回に渡っています。

実は、ここに出てくる漫画家さんたち(BL系の人が多い)は、大御所の萩尾望都さん以外は作品を読んだことがないので、取り上げられている話題をちゃんと理解はできていないと思います(あの『ハチミツとクローバー』でさえ未読なのだ私は)。というわけで、いくつか作品を読んだことあった小説家の三浦しをんさんとの対談が、いちばん刺激を受けたかなあ。

とにかく、よしながさんの守備範囲の広さに感嘆しました。どの人との対談でも、どんな話題が出ても、ぴぴっと反応してるんだもん。そしてまた、よしながさんって、本当に漫画が好きで、本当に日々、いろいろなことを深く考察して自分の中で言語化してストックしているんだなあ、と舌を巻きました。読んだことのある作品の細部を思い浮かべて、ああ、そこまで考えた末での、あの描写だったのか……と溜息。よしながさんの、漫画に対する姿勢の真摯さに、こちらも読者として、改めて襟を正したい気持ちになったり。

以前、三浦しをんさんの『シュミじゃないんだ』についての感想で、私は自分がBL系の作品にうまくシンクロできないのは、構造的に女性(自分)が疎外される世界を受け入れられないからではないか、と書いたのですが、本書でよしながさんたちのBL論を読んでいたら、むしろ現実世界で疎外されている自分を受け入れられないがゆえのBL忌避感なのか? とも思えてきた。つまり、今まで見たくなかったものが見えちゃうと、あとが怖いな、そこまでダイブするだけの度胸がないな、と無意識にブレーキかけてる気がする。

でも、実際に見たくなくても見えちゃった人、あるいは敢えて見つめる選択をした人にとっては、ああいった作品によって自分が受け入れら得る世界もあるという実感が得られて、救いになっているのかもしれないな、とも思う。

そう考えると、やはり私は自分の世界を狭めているようで、ちょっと寂しいけど。

Posted at 2008年1月25日 22:55



All texts written by NARANO, Naomi. HOME