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2008年2月26日

土屋敦『なんたって豚の角煮』

読了本 | 書籍・雑誌

なんたって豚の角煮

だいわ文庫(2007年11月)【Amazon.co.jp】

All About Japan「男の料理」コーナーを担当する著者が、まるごと1冊、豚の角煮を語る本。ウェブでも紹介されている基本の角煮をはじめとして、四季折々の食材と組み合せたアレンジ、残った角煮の楽しみ方まで含めると、計27のレシピ付き。

――と、それだけなら、さっさとお料理本専用書棚(そういうものがあるんです、うちには)に片づけて、いちいち読了リストに記載したりはしないんですが、これ、レシピ以外にも、たくさん読むところがあったので。

東京で生まれ育った著者が、水のきれいな場所でないと仕事ができない染色家の奥さんとともに、佐渡島の古民家に移住。しょっぱなから悪天候に翻弄されたり、せっかくの田舎暮らしだと気合いを入れちゃったばっかりに自給自足にこだわって栄養バランスが崩れたり、アクの強い山菜を食べすぎて体調が悪くなったり。

しかし、いったん軌道に乗ってしまえば、ある意味すごく贅沢な生活ですよね。新鮮な海の幸、山の幸、自分ちや近所の人たちのところの畑からの採れたて野菜。もちろん、引っ越し当初の目的であった、きれいな天然水。自由業の夫婦なので毎日の通勤の必要なし、でも都会にも行く機会もあり。現在は住居を自作中で、1階に住みながらのんびり2階部分を作っているそうです。もちろん、今でも大変だったり不便だったりすることは多々おありでしょうが、それでもなんか、こう……もとから否応なしにそこで生まれ育っている人じゃないからこその、「いいとこどりの田舎暮らし」って気がします。何代も前からそこで暮らしている地元の人たちも、「あの一家は私たちとはちょっと違うから」みたいな感じで、どこかお客さん的に受け入れているんじゃないかと想像してしまったり(うがちすぎ?)。世の中には、こういう暮らしをしている人も、いるのだなあ。ため息。

あとは、とにかく「角煮」に対する愛が詰まった本でした。こんなにも、情熱的に角煮の美味しさを分析したりレシピ開発の過程を語ったりしている文章を読んだのは、初めてです。

で、土屋さんのレシピで作ってみました。コンロで超とろ火で3時間……土屋さんは「煮る工程に入ってしまえばキッチンに張りついている必要はない」と書いていらっしゃるのですが、うちで使っているのは立ち消え安心機能とか付いてない古いガスコンロなので、ヒマな日を「角煮デー」と思い定めて、こもりましたよ。

本当に、めざすべき角煮になっていたのかどうか、いまひとつ分かりませんが、たしかに本書で説明されているとおりの、外側は硬いけど箸を入れると中はやわらかく、長時間煮込んだにもかかわらずお肉の味が残っている角煮ができた、ような気がします。また、コンロのそばに付いている必要がなければ、もっとラクなのではないかと考え、ひととおりアク取りをしたのちにクッキングペーパーで落としぶたをして(この本に載ってた方法)低温気味のオーブンで同じようにじわじわと加熱するというのもやってみましたが、今度は何故か、一度焼き固めたはずの表面まで、ふわりと柔らかい不思議な角煮が完成。再現性のある現象なのかは不明。

あと、残った角煮を翌日、フライパンで表面カリカリになるまでじっくり焼いて食するというのは、やってみたら本当に美味しかった。そのうち、ほかのレシピも試してみたいな(ちょっと出来上がりの味が想像つかないような取り合わせもあるんですが)。

Posted at 2008年2月26日 11:30



All texts written by NARANO, Naomi. HOME