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2008年4月 7日

グレゴリ青山『グ印亞細亞商會』

読了本 | 書籍・雑誌

グ印亜細亜商会

旅行人(2003年5月)【Amazon.co.jp】

今頃になって感想を書いてますが、3月の1冊目でした。アジア各国を旅してきた著者がさまざまな観点から「アジア」を語った、エッセイ中心の本(漫画も挿入されてるけど)。60年代の女性のヘアスタイル、同じ街を題材にした歌、映画などなど、ネタはさまざまですが、香港、台湾、タイ、インド、マレーシア、そしてちょっと昔の日本……と、どんどん繰り広げられる考察(および妄想)を読んでいると、どの国もそれぞれの個性を持ちつつ、同じアジアに属してもいるのだなあ、と感覚的に納得。グレゴリさんが語るアジアは、知らない国なのに、どこか懐かしく、どこか幻想的な、憧れの国って感じがします。なぜか。

圧巻は最後のほうの、台湾出身の画家「陳登波」氏(1895〜1947)について述べられた20ページ余り。時間つぶしのために入った徳島の近代美術館で、偶然目にした風景画に惚れ込んでしまったグレゴリさんは、展覧会目録に記載されていた短い説明だけを手がかりに、同じ画家のほかの作品も観てみたいと台湾を訪れ、かろうじて手に入れた過去の展覧会の図録の記述で、この画家が二・二八事件で命を落としているらしいと知ります。そしてさらに、風景画に描かれていた街を訪れてみたところ、冗談みたいに偶然に偶然が重なった結果、ついに画家本人の息子さん夫婦の家に招かれ、画家の生涯を詳しく知ることができるのです。この辺の経緯は、何か得体の知れないものが著者を導いていたのに違いないと思いたくなるほどの、怖いような不思議な感じ。

Posted at 2008年4月 7日 09:50



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