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2008年4月 8日

絲山秋子『豚キムチにジンクスはあるのか 絲的炊事記』

読了本 | 書籍・雑誌

豚キムチにジンクスはあるのか―絲的炊事記

マガジンハウス(2007年12月)【Amazon.co.jp】

初出は「絲的炊事記」のタイトルで『Hanako』2006年1月26日号〜2007年1月11日号。やはり3月に読みました。

これはいったい、そもそもどういうコンセプトの連載だったのかしら? いや、すっごく面白いんですけど、掲載誌が『Hanako』っていうので、ちょっと疑問が。とにかく、絲山さんが自分のご飯を作ったり食べたりしているようすを綴っているのですが、美味しそうなお話のときもあれば、絶対に真似したくないと思うお話、さらにはネタのためにそこまでしなくても……と読んでて一緒に泣きそうになってしまうようなお話もあり。

芥川賞を取ってるってことは、絲山さんって純文学フィールドのかたなんですよね? でもエンターテインメント精神満載の文章でした。たぶん、このひとは、ご自分のことについていろいろ茶化して書いてらっしゃるけど、基本的におそろしく律儀なのですね。こういうノリの連載で、しかも絲山さんのようなハイテンションな文体駆使能力があるなら、締め切りまでにさらっとなんか適当に作ってみて、たとえそれが失敗でも、そのこと自体をネタに読者を抱腹絶倒させる面白可笑しいエッセイに仕立て上げることだって、その気になればできたんじゃないかと、何度も思いました。にもかかわらず、一度テーマをきめたら、毎日のようにひたすら同じものを作り続けたり食べ続けたりして、とにかく確認作業を怠らない、自分を痛めつけてまでも納得のいく内容に持ってゆこうとする、この姿勢。連載継続の打診があったのを断ったと書いてありましたが、たしかにこれを続けるのは大変だわ。

Posted at 2008年4月 8日 16:45



All texts written by NARANO, Naomi. HOME