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2008年4月21日

酒井順子『携帯の無い青春』

読了本 | 書籍・雑誌

携帯の無い青春

幻冬舎(2007年11月)【Amazon.co.jp】

1966年生まれ(私より4つ年上)の酒井さんが振り返る、1970〜1980年代のあれこれ。懐かしいネタに「そうそう!」って思うよりもむしろ、同じものを見る視線が、こんなに違うんだなあ、というほうに感心。もちろん、単なる年齢差だけではないことは明白なのだけれど。

特に、70年代ネタにその違いが顕著。ピンクレディーの章とかね。だって私、本書で初めてちゃんと認識したんだけど、ピンクレディーのデビュー直後に渡米して、解散後に帰国してる……そりゃーデビュー曲以外あんまり記憶になくても無理ないわ。つーか、デビュー曲だけでも記憶に残っているというのがすごいわさすがだわピンクレディー。(とはいえ実は私、たぶんアメリカのテレビ番組で一度、ピンクレディー見たことあるよ。いきなり日本語でハモる振袖姿のお姉さん2人がスポットライト浴びながら画面内でクローズアップされて、司会者が「彼女たちの日本での人気ぶりをご覧ください」みたいなことを言い、2人がオープンカーの上から熱狂的なファン集団に手を振っている映像が出て、そのあと英語でも歌ってました。いきなり日本語が聞こえてきてソファからずり落ちそうになったので、今でも覚えている。)

で、酒井さんは、当時人気があったのは圧倒的にミーちゃんのほうだったと書いているのですが……ええええ、私の記憶と反対だよー。小学1年生だった私の周囲では、どっちかというとケイちゃんが人気で、私は
「ミーちゃんだって可愛いのに、世の中のひとたちは所詮、髪が長かったりと分かりやすく女らしいケイちゃんのような子を好むのであるなあ」
と、子供心に無常感を覚えたものでした。これは、1年生と5年生の差? それとも関西と関東の差? それとも、単に私の記憶が間違っているの? あるいは、顕著な人気の差が全国的に出てきたのは、私の渡米後だったのかも。酒井さんと1つ違いの同居人A氏に訊いてみたら、やっぱりミーちゃんのほうが人気だったと言ってました。

あと、酒井さんが高く評価(?)している「ペッパー警部」における“ガニ股”の振り付け。私あれ、大っ嫌いでした。あのお姉さんたちは、いったいなんであんな下品なしぐさをするのだろうって思ってました。あれにグッとくるためには、もうちょっと、少なくとも酒井さんくらいの年齢になっていなければならなかったのでしょうね。たしかに今でも覚えているってことは、インパクトあったんだろうな。

同じく小学生時代のネタだと、「口裂け女」の章もびっくりだったなあ。酒井さんの周囲では、みんなあれを本気で怖がって、お稽古事の教室から一人で帰れなかったり部活動が中止になったりしていたそうなのです。

うーん、たしかに口裂け女の話、記憶にあるけど……私の周囲では、あれを本気で怖がる子っていなかった気がする。もっと身近な、たとえば通っている小学校の旧校舎のトイレにお化けが出るらしい、みたいな噂は、本気にして泣いちゃってる子もいたけど、全国に広まっていた口裂け女の噂はみんな、単なる話のネタで済ませていたような。やはり、幼すぎて具体的に知っている場所に関わっていない漠然とした噂を怖がるだけの想像力がなかったのかもしれません。――あ、でも本書によると、マジで怖がる子が出ていたのは、酒井さんが小学6年生〜中学1年生の頃だったということなので、単に日本を離れていた私が、口裂け女の“全盛期”を知らないだけかも。コックリさんも、あれ、マジでやってた子なんていたの!? って思っていたけど、いたんですね。

さらにバブル期の話になると、完全に「東京」と「東京以外」では、感覚変わると思うし、この辺がかみ合わないのは、予想どおり。固有名詞出されてもなー。

一方、「そうそうそう、そうですよねっ!」と力強くうなずきながら読めたのが、雑誌『オリーブ』に関する章。とはいえここでもやはり、私が『オリーブ』のターゲット層にモロに入る年代だった頃、酒井さんはすでに女子大生コラムニスト「マーガレット酒井」として、この雑誌に連載を持っておられたのですが。うん、私も、もしなにかのめぐり合わせで酒井さんと対面することがあったら、まずは
「オリーブ、読んでました!」
って言っちゃうと思うな(そういうひとが多いのだそうです)。

……って、ついつい「自分のむかし語り」をしてしまいましたが。だってなんか、すごく「自分の記憶」を語りたくなる本なんだよー。たぶん、ここに挙がっているものが記憶にあるひとは、みんなそうなんじゃないかなあ?

Posted at 2008年4月21日 10:27

コメント

酒井と同学年ですが、ミーちゃんのほうが人気でした・・・。イメージとしては、ミーちゃんはちゃきちゃき、ケイちゃんはやや大人しめだったと思います。ミーちゃんの派手っぽい感じが今風に言うと「明るいキャバクラ嬢」みたいな色気だったのだと思います。ケイちゃんは古いタイプのホステスさんwと言うか・・・
多分、ケイちゃんを好きなのは低めの年齢層だったと思いますよ。優しそうだし。で、ミーちゃんを好きだったは異性の視線を考えるようになった女子か、男性なんじゃないかと思います。(適当な想像)

口裂け女は、深夜ラジオ発のネタだったと記憶していますが、初めは半ば冗談として語られていく内に想像力豊かで怖がる子供がぽつぽつ出てきて、仲良しが怖がっていると子供は感情が引きずられて一緒にパニックしていったのかも。わたしも口裂け女はうまくイメージできなくて怖くなかったですけど。

投稿者 Felice : 2008年4月22日 07:52



ああ、著者と同年代の方の証言が! Feliceさん、ありがとうございます。
世間的にはやっぱりミーちゃんのほうが人気だったんですね。そうかなるほど、ケイちゃんのほうが、やさしく受け止めてくれそうな感じだったので、幼児には好ましかったのかもしれないですね。

仲良しの子がパニクると、気持ちが引きずられるっていうのは、言われてみれば私も覚えがあります。口裂け女は怖くなかったけど、別のことで。

それにしても、この本を読んで、子供時代の4年の差って意外と大きいもんなんだなあと改めて思いました。そういえば、小学校に入ったばかりの頃は、高学年のお姉さんたちが、すごいオトナに見えましたっけ。

投稿者 ならの : 2008年4月22日 17:00



おひさしぶりです。
私はならのさんの1つ年上東京の小学生でしたが、やっぱりその頃は部屋にピンクレディーのポスターを貼っていましたよ。人気があったのは圧倒的にミーちゃんでしたが、私はちょっと暗い感じのケイちゃんが好きでした。(私は低めの年代層に入るのかな?)
ポスターの中で微笑む二人の唇がグロスでキラキラしていて、それを更に光らせようとリップクリームを塗ったら油染みになって、それこそ口裂け女みたいになってしまって捨てた、なんてこと思い出しましたよ。

それから口裂け女は、私の場合は友達からではなく母から先に聞きましたよ。「こんな噂があるから気をつけなさい、変な大人の女の人には注意するように。」って。突然こんな話をされてびっくりしたことを覚えています。そもそも話の出所がラジオですし、子供の世界から自然発生したというよりも、周りの大人(テレビを含む)が騒ぐからつられて恐くなったって印象が残っています。

コックリさんも流行ってましたよー。さすがにたたりにあった子はいませんでしたけどね。

投稿者 asako : 2008年4月24日 09:15



asakoさん、こんばんは。
そうか、やっぱり世間はミーちゃん圧倒的人気でしたか。私の記憶がおかしいのかも。だんだん自信がなくなってきました……というか、圧倒的に片方に人気が集中していた、という記憶自体が、ないんですよね。

ポスターにリップクリームを塗っちゃうって、なんだか微笑ましいですね。
ポスターにはやらなかったけど、そういえば私も、学年誌の漫画の女の子絵の唇に、色鉛筆で色をつけてみたりしたことがありました。子供の頃って、そういうことやりがちですよね?

口裂け女、大人もメディアで騒いでいたんですね。私は、大人から聞いた記憶がなくて、登下校の途中で上級生から、とかそんな感じだったと思います。

ほかの人の思い出話は、当時の自分が見ていたものと別の面がわかって、面白いなあ。

投稿者 ならの : 2008年4月24日 21:09



お久しぶりです。
ちょうど件の本を読んだところです。
私も「へぇそうなんだ〜!」と思うところが多くて、同じ時代を生きていて同じニュースに出遭っていても、全然見え方が違うものなんだなと妙に感心していました。

私はならのさんと同い年ですが、周囲ではピンクレディはミーちゃんが圧倒的に人気でしたよ? 年齢層ではなく地域性とか他に関係があるかもしれませんね。

それと口裂け女は、ニュースで集団下校の様子等を見て「大変なんだな〜」と思った記憶があるくらい他人事でした。

習い事の帰りに、雑貨屋の店前でガチャポンをする年上の友人に付き合っていたら、店のオジサンに「遅くなると口裂け女に連れてかれるぞ」と怒られた事を思い出します。
今思うと、現実的な恐怖というより、昔ながらの妖怪の一種のような扱われ方だったんですね。平和だ(笑)
なので酒井さんの周りの様子が「本当にオタオタしていた所があったんだなぁ」という感じです。

投稿者 かえる : 2008年4月25日 16:23



わーい、かえるさん、おひさしぶりです!

やっぱりミーちゃん、人気だったんですねえ。
私の記憶は、当てにならないなあ。っていうか、たぶん当時の私には世間一般の動向っていうのが、実はぜんぜん分かってなくて、たまたま、asakoさんみたいなケイちゃん好きの子が身近にいたってだけなんだろうという気がしてきました。

そして口裂け女……ああ、言われてみれば、たしかに妖怪っぽい位置づけだったかも(笑)。

でもニュースで集団下校の様子が報道されてたりしたんですか……それも記憶にないなあ。
これはマジで、口裂け女全盛期に私が日本を離れていたせいではないかという気がしています。1978年に渡米したんですが、Wikipediaの「口裂け女」の項によると、マスコミ初登場は1979年とのことなので(思わず検索しちゃいましたよ)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A3%E8%A3%82%E3%81%91%E5%A5%B3

ほんと、同じ時代を生きていても、見えてたものはさまざまですねえ。

投稿者 ならの : 2008年4月25日 23:45





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