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2008年4月30日

2008年4月に読んだものメモ

読了本 | 書籍・雑誌

いつになく(私にしては)せっせと本の感想を書いて更新していたら、映画の感想を書きそびれました。3月に観た金城くんの『Sweet Rain 死神の精度』、もしかしてもう巷ではとっくに上映、終わっているのでは。こっちに、ひとことだけコメント載せましたが、もしちゃんとした感想文を待ってたかたがいらっしゃったらすみません。書く気はあります。4月に入ってからも、また観ました。

あと4月には、王家衛(ウォン・カーウァイ)監督の『マイ・ブルーベリー・ナイツ』も観ましたよ。『Sweet Rain〜』が金城ファン的には美味しい映画だったのと同じく、これも王家衛ファン的には非常にツボな映画でございましたが、一般の映画ファンにとってどうだったかは正直、よく分かりません。



香山リカ『ポケットは80年代がいっぱい』(バジリコ,2008年3月)
まだバブルで浮足立つ前の東京において、香山リカさんがまだ学生で、黎明期のサブカルチャーにどっぷりつかっていた頃のお話。香山先生のルーツはここにあったのか。別途、感想文を書きました。【Amazon.co.jp】


華恵『ひとりの時間 My Fifteen Report』(筑摩書房,2007年10月)
1991年生まれ、現在16歳の著者の3冊目。中学卒業までの身辺雑記エッセイ。1冊目の『小学生日記』からずっと読んでいますが、前から持っていた率直さと繊細さと心の強さをそのまま伸ばして、まっすぐに育っていっていることがうかがえて、なんだかとても嬉しい。別途、感想文を書きました。【Amazon.co.jp】


角田光代『八日目の蝉』(中央公論新社,2007年3月)
 不倫相手の赤ん坊を誘拐して新興宗教施設に逃げ込んだ女が主人公の前半と、本当の両親のもとに戻されて大きくなった子供の視点から語られる後半。スキャンダラスな題材ですが、犯罪者であるはずの前半の主人公の、そこまでやってしまう気持ちの切実さが胸に迫ってきて、さらってきた娘とのあいだに築き上げる束の間の幸福が美しく貴重なものに思え、つい「逃げて!」という気持ちになってしまった。
 後半では、さらわれた娘がその後、実の両親のもとに戻されても本当の家族として受け入れられはしないままだったことが分かります。むしろ、事件をきっかけに、もともと水面下ではほころびを見せていた家庭が、どんどんバラバラになっていっている。さらわれた子にしてみればしかし、そんなのまったく、自分のせいじゃありません。それでも、閉塞感のある状況から先へ進もうとしていく、年若い主人公の最後の姿勢が、さわやかでした。これからどうなるのか、まるっきり未知数なところで終わってるけど。【Amazon.co.jp】


中島美代子『らも 中島らもとの三十五年』(集英社,2007年7月)
中島らも(1952-2004)の死後に、奥さんが書いた本。らもが高校生、美代子さんが短大生だったときの出会い、結婚して子供が生まれた直後の真面目な会社員時代、一時期の自宅に「ヘルハウス」とあだ名が付くような生活、人の期待に応えようとする生真面目さの裏返しとしての躁と鬱……。
 私は、中島らもさんの作品はあまり知らなくて、「なんだか面白い人だけどアル中小説は実体験がベースなんだよねえ? 麻薬取締法違反で逮捕されてたよねえ? ということは、けっこうハチャメチャな人? 奥さんはさぞかし大変だったのでは……」などと漠然とイメージしていただけだったのですが、これを読むと、むしろ奥さんの美代子さんのほうが、キャラとしては突き抜けてる感じがありました。この人の夫をやるのは、らもさんくらいの人じゃないと駄目だったろうなあ、みたいな。【Amazon.co.jp】


穂高明『月のうた』(ポプラ社,2007年10月)
 4つのお話が入った、連作短編集。実母を亡くしてまだ継母に馴染みきれない中学生の女の子、夫の連れ子のあまりの優等生ぶりに引け目を感じてしまっている継母、女の子を見守り続ける亡母の親友、そして最後に女の子の父親……と視点が移っていきます。なんだかんだあっても、徐々に互いに受け入れ合った新しい家族ができあがっていく。
 やー、この女の子があまりに人間の出来たよい子で。こんな子を嫌いになる人はいないでしょう。実母の死後も父親の再婚後もかなり駄目駄目でいーかげんな娘だったワタクシとしては、尊敬です。【Amazon.co.jp】


平野恵理子『きもの、着ようよ!』(ちくま文庫,2008年3月/親本:筑摩書房2003年12月)
 実はこの4月から、義母とふたりで着付け教室に通い始めました。まだぜんぜんうまくいかなくて、悪戦苦闘中(汗)。とにかく私の場合、実践に至る以前に、和服に関する基礎知識もなさすぎる! すごく小さかった頃は、実母が和裁を習っていたり子連れでお茶会に行く趣味があったりしたので、着物を着る機会もちょっとはあったんですけれど、当時は自分で選んで着ていたわけじゃないからなあ。
 数ある「着物入門書」のなかで、とりあえずの1冊目に平野恵理子さんの本を選んだのは、今年の1月にこの人の別の本を読んで、「ものごとの楽しみ方は既存の考え方に固まらず自力で見つけていこうよ」という論調と、かわいいイラストに馴染んでいたから。ちょうど文庫落ちしたばかりで、書店でも平積みだったしね。
 織りや染めのことなどについてさえ、独特の絵柄によるイラストでしか図解されていないうえ、それらを文庫化の際にそのまま縮小しちゃっているので、興味がわいたところに関しては、写真付きの本を別にゲットしたほうがよいのかも(もちろん、実物を見るのがいちばんなんでしょうけど)。
 でも、平野さんが、基本的なことは押さえつつも、自分の判断で気軽に着物を毎日の生活に取り入れ、楽しんでいるようすがうかがえて、「和服って決まり事が細かいし、怖いなあ」と怯えていたのが、ちょっと肩の力、抜けました。【Amazon.co.jp】


絲山秋子『袋小路の男』(講談社文庫,2007年11月/親本:講談社2004年10月)
 表題作「袋小路の男」は、高校時代から12年間ずっと特に進展もないままの片思いのお話で、片思いしている女性側からの一人称。次に収録されている「小田切孝の言い分」では、前作の語り手の視点と、片思いされている側の男性の視点を交互に出しながら、同じ状況が三人称で語られます。1作目では、ただひたすら、女性側が真意の分からない相手に振り回されているだけのように思えていたのが、2作目を読むと、男性側も相手の真意がよく分かってなかったり、自分側の事情ではっきりしたことを言えずにいたりしています。淡々と、そんな関係が続いていく。そういうのを臆病だとかずるいとか言うのは簡単。でも結局、ここまで極端(ドラマティックという意味ではなく)じゃなくても、互いに踏み込んで決定的な白黒をつけないまま続いていく、そういう人間関係って、わりとありがちなのかもしれませんね。男女関係でそれをやられると、もどかしくなっちゃうけど。2作を続けて読むからこその面白さ。
 収録されている3つ目の作品「アーリオ オーリオ」も、遠いような近いような不思議な距離感が印象に残るお話でした。【Amazon.co.jp】


細川貂々&ツレ『専業主夫ツレのプチベジ・クッキング』(角川SSコミュニケーションズ,2007年6月)
 フランス育ちで、ゆるいベジタリアンで、ペットのイグアナくんたちのために大量に買い込んだ野菜の残りの処理に燃えるツレさんの野菜中心レシピ集に、奥さんの貂々さんが漫画を付けたもの。「食」をめぐる夫婦のスタンスの違いと歩み寄りが垣間見えるところが面白かった。別途、感想文を書きました。【Amazon.co.jp】


能町みね子(絵と文)『オカマだけどOLやってます。ナチュラル編』(竹書房,2007年12月)
 2007年10月に読んだ『オカマだけどOLやってます。』の続編。前の本では、身体は男性でも自分は女性として生きていったほうが楽みたい、ということに気付く前の、違和感を抱きつつ男の子をやってた頃のことなども書かれていましたが、こっちははっきり「OL」として会社勤めを始めてからの日々のあれこれがメイン。男性だったこともある女性(この時点では身体的にはまだ男性)として、どういうところで戸惑ったり面白かったりするのか、というのが女性しかやったことない身には「ほほー」って感じでした。次の巻で、手術を受けて身体的にも女性になるみたいです。【Amazon.co.jp】


平野由希子『料理研究家のつくりかた』(白夜書房,2007年6月)
 平野由希子さんのお料理本、気がついたら何冊も持ってました。うちは煮込みものやオーブン料理が出る頻度が高いので、ル・クルーゼ大好きな平野さんのレシピは、ちょうどいいのです。今回読んだこれは、その平野さんの初のエッセイ集。もちろんレシピ付き。
 お仕事としてレシピを考案する際の、いろんな制約(雑誌ごとに使える道具や調味料が違うとか)や、写真付きのレシピが雑誌に載るまでのプロセスなんかは、初めて知ることが多くて興味深かった。雑誌のレシピ特集を見る目がちょっとだけ変わりそう。
 また、文字数を絞るためにいつもは敢えて削ぎ落としているけど本当は作りながら脳裏にものすごくいろんなポイントが浮かんでいるというお話(実際に、「書きたいことすべてを盛り込んだラタトュユのレシピ」が掲載されているのですが、なんとまるまる1章、これに終始しちゃってる)とか、お料理ができていくときの匂いが好きでわざと換気扇を回さずにいるお話とか、雑誌撮影のために朝から晩まで大量にお料理を作ったのに、仕事が終わったら自分用にまたお料理したくなるお話とか、パリのお友達の家に泊めてもらっても、そこのキッチンでひたすら楽しく毎日お料理しているお話とかは、読んでると、この人って、なるべくして料理研究家になったのだなあって感心。とにかく、寝ても覚めてもお料理なんですね。【Amazon.co.jp】


ソニア・パーク『ソニアのショッピングマニュアル』(マガジンハウス,2004年10月)
 最近になって、第2弾の発売とともに『ソニアのショッピングマニュアル 1 新装版』として改めて出ているようですが、私が読んだのは図書館で借りた古いほうです、すみません。ソウル生まれハワイ育ちで、日本を拠点として活躍中のスタイリストである、買い物好きの著者が、ウィンドウショッピングではなく本気のお買い物道に邁進する "serious shopper" たちに贈る、さまざまなジャンルの良品紹介。
 ぶっちゃけた話、いくら「マニュアル」と銘打たれていても、一般人でここに書かれているソニアさんの買いっぷりを、そっくりそのまま踏襲できる人なんて、そうそういないでしょう。良質で流行に左右されないデザインだからって、シーズン毎にセーター1枚20万円、アナタ出せますか!?(少なくともワタシは出せません。)とはいえ、ちょっと背伸びすれば手が届く範囲のものもあったりして(小物やお菓子など)、いつかそのうちもしかしたら……と「夢を見る」にもちょうどいい配分かも。そんなこんなで、本来のターゲット読者は「シリアス」なショッピングをしたい人かもしれませんが、あくまでも目の保養、心の栄養補給として、気軽なウィンドウショッピング的に読ませていただきました。どこがどうよいのかを説明してくれる際の語り口の熱さ、各ブランドの背景解説などのうんちくも面白い。
 それと、ソニアさんのお買いもの、たしかに当方の可処分所得範囲とは桁が違うんだけど、ファッション業界で仕事をする身として、頑張ってほしいブランドやデザイナーを応援する意味もあるんだっていう主張も、非常によく分かるので、読んでてヒガミ心が湧いてこないんだよね。【Amazon.co.jp】


シャンナ・スウェンドソン『おせっかいなゴッドマザー』(訳:今泉敦子/創元推理文庫,2008年3月/原書 Shanna Swendson "Damsel Under Stress" 2007)
 <(株)魔法製作所>シリーズの3作目。原書は、去年の6月に読んでいます。あの原題(damsel in distressのもじり)に、どういう邦題を付けてくるのかなあと楽しみにしていたら、こう来ましたか! たしかに、そういう話だ! 的確だ! そして原書で読んだときは、Fairy godmotherって日本語でなんて言うんだろって思いつかずにいたんですが、「フェアリーゴッドマザー」でよかったのか。ははは。
 ところで、この邦訳版の巻末解説(妹尾ゆふ子)では、ヒロインの「自信のなさ」が分析されていたのですが、そういえば最初に読んだとき、私はここの部分には、あまり注目していなかったのですね。で、それがなぜかと言うと……この「十二時の鐘が鳴りっぱなしのシンデレラ(解説文より)」のような、ものすごく疲れそうなメンタリティは、ケイティにとってデフォルトであると同時に、私にとっても、あまりにも「自然」であったからなのではないか、と。私もたぶん、マズいとどこかで思いつつ、こういう状況下に置かれたら、ケイティとまったくおんなじ行動パターンに陥る気がする……。ちょっとヘコんだ(笑)。でも作品世界への愛にあふれた素敵な熱い解説でした。【Amazon.co.jp】


Shanna Swendson "Don't Hex with Texas" (Ballantine Books, 2008年4月)
 上記<(株)魔法製作所>シリーズの4作目。舞台をテキサスの田舎町に移して、ケイティの家族が勢ぞろい。相変わらず楽しかった。でも相変わらず、主役の2人はじれったかった(笑)。この人たちが仕事と恋愛を両立できるようになるには、オーウェンにもちょっと変化してもらわないといけなかったんですね。別途、感想文を書きました。【Amazon.co.jp】


以下、漫画本。


西原理恵子『毎日かあさん 4 出戻り編』(毎日新聞社,2007年7月)
 西原さんの、子どもたちふたりが出てくる漫画は、いつも「正しい生命力」と言いたくなる何かを感じます。豪快で直観的で、ときに破天荒で、でも決して、外しちゃいけないところを外さない子育て。それは、子どもたちのお父さん(カメラマンの鴨志田譲さん)がガンで亡くなってしまうところまでが描かれているこの本でも、同じ。だからこそ、ストレートに悲しい。【Amazon.co.jp】


いなだ詩穂(原作:小野不由美)『ゴーストハント』第10巻(講談社,2008年4月)
 しばらく出ないうちに、なんか絵柄変わった……? いよいよ、ラストに向けて本格的に動き出しましたねえ。原作の「悪霊」シリーズを読んでしまっているのでオチ(?)は分かっているのですが、この漫画版は全体的に、伏線を丁寧に書き込んでくれてて、キャラも鮮明に立ってて、可愛い絵柄なのに怖いシーンはちゃんと怖くて、とてもよかったと思う(って、つい過去形にしてしまったが、まだ終わってませんよ)。原作小説の挿絵とはぜんぜん違うんだけど、もうこのシリーズのキャラのビジュアルイメージは、いなださんバージョンの設定でしか思い浮かばない。【Amazon.co.jp】


高津カリノ『WORKING!!』第5巻(スクウェア・エニックス,2008年4月)
 ドラマCDを聴く習慣がないので、買ったのは付録のない通常版です。分かりやすすぎだよ自分と思いつつ、伊波さんと佐藤くんをそれぞれ別々に絶賛応援中。【Amazon.co.jp】


細川貂々『その後のツレがうつになりまして。』(幻冬舎,2007年11月)
 去年の8月に読んだ『ツレがうつになりまして。』の続編。1冊目を出したあとの反響や、あとになって初めて知ったこと、そして薬を飲まなくても大丈夫になったけど、昔のような「スーパーサラリーマン」ではなくなった、ツレさんの現在について。こういう、補足というか「アフターケア」的な本を出してくれるというのは、とても誠実な感じがしますね。
 前作よりも全体的にページ構成がシンプル、悪く言えば読むところが少ないのですが、Amazonの顧客レビューで、「これならうつの人にも読めそう」的な意見があるのを見て、はっとしました。そういえば前作のレビューでは、「実際にうつに陥っている最中の人には読み通せない」みたいな意見が出てたっけ。今回のこのシンプルさが、そこまで考えてのことなのかどうかは分からないけど、結果的には功を奏しているのでしょう。【Amazon.co.jp】

Posted at 2008年4月30日 21:33



All texts written by NARANO, Naomi. HOME