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2008年7月30日

2008年7月に読んだものメモ

読了本 | 書籍・雑誌

暑い暑い暑い暑い暑いよう。去年の夏はひたすら自宅の仕事部屋に引きこもっていたので、いま思えば夏が暑いということにもわりと無頓着でしたが、仕事をしてない今年はエアコンの電気代をケチり気味なのもあって、久々に夏の暑さを実感中。ついでに言うと、ヒキコモリを返上したら、去年の3倍くらいのスピードで日焼け止めやその他の化粧品が減っていくよ! 無収入なのに!

そして明日31日も、朝からずっと外出していて本は読まない予定なので、今日のうちに今月の読了本リストを出しておきましょう。



いじりめぐみ『へこジャパ 凹まぬジャパニーズ』(ユーコン社,2003年7月)
 著者のいじりさんは、マイクロソフト勤務のアメリカ人と国際結婚してシアトル在住。いろんな意味で日本人離れしているというのがウリの著者が、日本でがんがん働いていたのをリセットして渡米したものの、主婦の座に収まることなどできず、ベンチャー企業副社長を経て自ら会社を設立するまで、どんどん突き進んで行った半生記。豪快さがチャームポイントなのですごく露悪的な表現も多いのですが、とにかく欲しいものは諦めない、という姿勢がすがすがしい。【Amazon.co.jp】


上田早夕里『ショコラティエの勲章』(東京創元社ミステリ・フロンティア,2008年3月)
 連作短編集。著者は小松左京賞でデビューした人だけど、SFじゃありません。そして「ミステリ・フロンティア」の本だけど、ミステリ色もあまり強くない。「日常の謎」……というより、見落としがちな人の心の機微をほじくり出すような感じ。中心になるのが老舗和菓子屋さんの店員(親が工場長)と、謎めいたストイックなチョコレート職人のコンビ(と言う表現をするには、微妙にこの2人のあいだの距離が遠いのですが)で、甘いものに関するうんちくが面白い。ヒロインが、「つくる側の視点」に立とうとせず、あくまでも「味わう側」に徹してお菓子への思いを真摯に語るのがよかった。【Amazon.co.jp】


勝間和代『勝間和代のインディペンデントな生き方実践ガイド』(ディスカヴァー携書,2008年3月/親本『インディでいこう!』2006年1月)
 ここんとこ、あちこちでお名前を見かける、経済評論家の勝間和代さんが最初に出した単著の再リリース版。働く女性のライフスタイルを説いたもの。勝間さんが提唱する「インディ」というライフスタイルを目指す気のある人にとっては、非常に具体的かつ有用な指南書であると思われます。まあそういう方向を目指す人たちは頑張るといいと思うよ。別途、感想文を書きました。【Amazon.co.jp】


平松洋子『夜中にジャムを煮る』(新潮社,2008年2月)
 書き下ろしの1編を除いて、初出は『考える人』2003年冬号〜2007年冬号。この著者の本は初めて読みました。「フードジャーナリスト、エッセイスト」だそうです。いろんな肩書きがあるものだなあ。さまざまな国の伝統的なお料理(特に伝統的なもの)を取材しているみたいです。食べることと、基本を大切にするという観点で非常に真摯に向き合っていて、なんだか圧倒される感じ。誰かと一緒に食べる、美味しいもののお話がずっと続いたと思ったら、締めくくりの章が、何も食べたくない、お料理もしたくない日のことや、ひとりで食べるということについてのエッセイで、何かこう、こちらまで、妄想の中で飽食していたのをリセットされて身体が軽くなったような読後感。【Amazon.co.jp】


島崎今日子『この国で女であるということ』(ちくま文庫,2006年11月/親本:教育史料出版会,2001年10月)
 雑誌『アエラ』の「現代の肖像」というコーナーに掲載された文章20本。「欲望」、「表現」、「母の娘・父の娘」、「闘い」という5つのキーワードに沿って、各方面で活躍する女性を取材した記事がまとめられています。最初に「欲望」カテゴリが来ていたせいか、その後もずっと、どの記事を読んでいても、結局、人を動かすのは「欲望」なんじゃないかという気がしてきた……。人間の欲望の対象は、必ずしも自分自身の快適さにつながるものではないのだな、と。私生活をストイックに制限してでも表現し続けたいという欲望、ボロボロになっても闘い続けたいという欲望、苦しみ抜いてでも親との関係を追究したいという欲望……。突出した欲望を抱ける人だけが、突出したことを成し遂げられるのかもしれないとさえ。【Amazon.co.jp】


夏樹静子『腰痛放浪記 椅子がこわい』(新潮文庫,2003年8月/親本:『椅子がこわい 私の腰痛放浪記』文藝春秋,1997年6月)
 著者が感じていた苦痛と絶望の描写が本当にすさまじく、その原因が明らかになっていく過程での、「そんなことでこんな強烈な痛みが出るはずない!」という気持ちが、手に取るように分かってしまいました。別途、感想文を書いています。【Amazon.co.jp】


ケンタロウ、柳田理科雄『ナレッジエンタ読本5 空想キッチン!』(メディアファクトリー,2008年1月)
 アニメに出てきた食べ物について、大真面目に語る本。取り上げられてるメニューについては、Amazonの商品ページに記載されてる目次を参照のこと。料理家のケンタロウさんは知ってたけど、柳田理科雄さんって? と思ったら、そうかあの『空想科学読本』の人か! でもって、「理科雄」って、本名なのか! すばらしい。
 見たことないアニメの話題もありましたが、総じて楽しゅうございました。ハウルのベーコンエッグのシーンはたしかにすごくリアルに美味しそうで印象的でしたが、ケンタロウさんの悔しがりっぷりがおかしかった。
 【Amazon.co.jp】


ソニア・パーク『ソニアのショッピングマニュアル II』(マガジンハウス,2007年11月)
 「I」は、今年4月に読みました。大体、前と同じような感想です(笑)。やっぱり楽しい。【Amazon.co.jp】


青木祐子『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスとつぼみの淑女』(集英社コバルト文庫,2006年1月)/『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスは開幕のベルを鳴らして』(集英社コバルト文庫,2006年4月)
 「どこかでこのシリーズが面白いと書いてあったから」と、夫が図書館で借りてきました。えーーーー。たしかに私もこのシリーズ、褒めてる書評をネットで見たことありますが、主に「乙女心を直撃!」「きゅんきゅんします!」みたいな褒め方でしたよ? うちの夫は、そんなに乙女だったかしら? そんでもって案の定、受け付けないみたいなので、私が代わりに読んでメモを書いてあげることにしましたよ(←偉そう)。
 シリーズのタイトルからも明らかなように、19世紀のイギリスが舞台です。ヒロインのクリスは、仕立屋「薔薇色」の店主。「恋がかなうドレス」を作るひとと噂されていますが、実際には依頼人の「心のかたち」をドレスに仕立てているのです――と、まあファンタジックな設定ではあるのですが、実生活においても、身につけるものと自分自身がしっくりきている(と感じられる)かどうかが、精神状態に影響を及ぼすというのはすごくあるので、このお話においてドレスとそれを着る人とがフィードバックしあっている感じは、とってもイメージしやすい。それに、「ドレス」の詳細描写だけでも楽しいやね。
 あと、肝心(?)の「きゅんきゅん」方面。ええ、そうですね。なんかこう、来ますね。1巻、2巻とも、ヒロインが作ったドレスでお客さんの恋は成就するけど、ヒロインとヒーローは由緒正しい少女マンガ的じれじれ展開。ただ、このふたりの身分格差っていうのは、「萌える」要素ではあるんですが、時代を考えると、おっそろしく現実離れした無理めなカップリングになってしまうと思う……。その辺をどう料理していくのか、ちょっと気になります。そのうち自分でつづきを借りてくるかも(なんだかんだ言って、けっこうハマったらしい)。
1巻【Amazon.co.jp】2巻【Amazon.co.jp】


井上絵美『おいしい近道 インスピレーションレシピ』(講談社,2007年10月)
 いったい、何が「近道」なのかと思えば、要するに何もかもを一から手作りしなくても、家庭のお料理なら市販の良品を利用して手軽に楽しく美味しいものを作ったっていいじゃない、というコンセプトから来たタイトルなのかな? エッセイ本の形式ですが、各章で著者おすすめの食品や各種ソース、調味料、さらには半調理品が、それらを使ったオリジナル・レシピとともに紹介されています。
 市販のもののお味に依存してたっていいじゃない、とプロの料理家の人が言ってくれるのはとてもありがたいし、おすすめ製品の紹介も興味深かったし、ちょっと試してみたいと思ったレシピもあるのですが、いかにもオシャレでセレブ! な感じの生活をしている著者のエッセイ部分を読んでて感じる、どうにもこうにも「こっぱずかしい」感じは何なのかしら。私には似合わないもん読んじゃったぜ、みたいな。だいたい、このかたが主催しているお料理教室の名称が「愛されるお料理レッスン」だというあたりで突然ものすごく居心地が悪くなってしまったのは、もしかして私が自意識過剰な「モテない系女子」のなれの果てであるせいでしょうか。【Amazon.co.jp】


以下、漫画本。

ゆうきまさみ『鉄腕バーディー』1〜19巻(小学館ヤングサンデーコミックス,2003年6月〜2008年3月)
 夫の本棚から。女性アンドロイド型異星人であるバーディーの普段の格好が、なぜ地球人の感覚においてあそこまで露出度高くないといかんのかという疑問は常につきまとうのですが(笑)、思いがけない事故により主人公であるつとむくんと二心同体にならざるを得なくなったバーディーが、平凡な地球人であるつとむくんの生活と意志を一応はできるかぎり尊重しようとしている姿勢に好感を持ちました。結局、つとむくんは否応なしに振り回され、場合によっては自ら巻き込まれ、最新刊では周囲の人々まで巻き込んでしまっているのだけれど。【Amazon.co.jp】


中村光『聖☆おにいさん』第2巻(講談社モーニングKC,2008年7月)
 相変わらず、ブッダとイエスが仲良しさんで、なごみます。【Amazon.co.jp】


惣領冬実『チェーザレ 破壊の創造者』第5巻(講談社モーニングKCDX,2008年7月)
 相変わらず、ものすごく綿密な調査をして描いていることが察せられるのですが、それがちゃんと面白いし、絵がものすごくきれい。収録されている原稿を描いていたときの惣領さんご自身のサイトの記述と併読すると、さらに興味が深まりました(あと、使用されているのがつけペンではなくサインペンだってことにも驚き!)。【Amazon.co.jp】

Posted at 2008年7月30日 23:36

コメント

「チェーザレ」、絵がすごくきれいだし、何よりチェーザレを「陰のある謎めいた魅力的な男性」に描けているのが良いですよね。
わたしは著者のサイトを見ていなかったので、ならのさんのエントリを読んでミリペンで描いていることを知りました。なんか硬質な細い線で、丸ペンではないしGペンでもこんなに硬い線にならない気がしていたんですが、ミリペンだったとは。確かにこれだけ緻密な線だと付けペンでは描きにくいでしょうしねー。
イタリアでイタリア語版の出版準備が進んでいるとか。
楽しみですねえ。

投稿者 Felice : 2008年8月 1日 19:57



Feliceさん、こんにちは。私は惣領冬実さんって、20年以上前に読んでた現代物の恋愛少女漫画のイメージがすごく強くって、初めて『チェーザレ』を読んだときには、こういうのも描く人だったのか、とびっくりしました。

史実をきちんと踏まえたうえで、キャラクターがちゃんと矛盾なく魅力的なのがいいですね(最初にこの題材で連載を始めたいと言ったとき、編集者からは、チェーザレを超能力者にしてエンターテインメント性を高めてはどうかみたいな提案をされたとか……ぎゃー!)。

作者のサイトに書かれている仕事ぶりを読んで一番驚いたのは、既存の学者がまとめた研究書だけでなく、当時の手紙など一次史料の内容まで、ご自分で確認していらっしゃるということです。作画よりも資料読み込みで根を詰めて体調を崩されたりしてるときがあるみたいなので、ちょっと心配だけど、最後まで思う存分、描き切ってくださいますように、と祈ってしまいます。

あと、たしかに硬質な線だけど、私は素人考えで、極細サインペンだともっと全体的に均質なのっぺりした描線になるんじゃないかと思い込んでて。ペン先に弾力性のある付けペンじゃなくても、ピグマであんな「緩急」のある線が引けるんだ! とこれまた感動したのでした。

イタリア語版、現地での反応を知りたいですねー。

投稿者 ならの : 2008年8月 2日 14:24





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