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2008年10月31日

2008年10月に読んだものメモ

読了本 | 書籍・雑誌

本当は、11月1日から上映が始まる『レッドクリフ』鑑賞に備えて、10月末までにちゃんと『三国志』の予習をしておこうと思っていたのですよ。しかし果たせず……。今の私の三国志知識は、ダイジェスト版と少女漫画とWikipediaと以前から三国志ファンだった夫による解説で構成されている!

とりあえず、読了リストには入れませんでしたが、前に読んだ諏訪緑『諸葛孔明 時の地平線』(小学館PFコミックス)全14巻を一気に再読してみました(13巻まで読んだときの感想)。



新井一二三『中国語はおもしろい』(講談社現代新書,2004年11月)
 中国語そのものを解説する部分はほんのわずかで、基本は中国語を学ぶことによって、世界が広がったよ、中国語おすすめですよ、というお話。いろんな方言や訛りのバラエティがある広大な中国語圏だからこその、標準語、北京語の位置づけなど、著者の経験に基づく分析が面白かった。とにかくこの著者は、言語としての中国語(特にその音律)が大好きなんだということが、よく分かった。【Amazon.co.jp】


斎藤環『母は娘の人生を支配する なぜ「母殺し」は難しいのか』(NHKブックス,2008年5月)
 表紙がよしながふみの絵だったので目を引かれましたが、期待どおりというべきか、本文中でもこのタイトルでよしながふみというと(よしなが作品をある程度読んでいれば)誰でも真っ先に連想するだろう『愛すべき娘たち』の紹介が。精神科医とはいえ男性の著者が扱うにはかなりデリケートなテーマなのではないかと思っていましたが、かえって土足で踏み込んでこず間合いを取りながら書かれている感じで、8月に読んだ信田さよ子『母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き』よりも息苦しくなくて冷静に読みやすかった。しかしなんだか最近、急にこの手の母娘関係の難しさを取り扱った本(それも比較的、新しいの)が目につくようになった気がするんですが、私の気のせいでしょうか、それとも実際に今、世間で注目されてるんでしょうか?【Amazon.co.jp】


万城目学『ザ・万歩計』(産業編集センター,2008年3月)
 まず、「万歩計」が登録商標だということを、本書の奥付(書名に使用する際に権利者の許諾を得ている旨が記載されていた)で初めて知りました! そうだったのか! 一般名称は……「歩数計」でいいのかな? なんとなく老成した文体で飄々と語られるあれやこれやが、時に軽々とぶっとんでいて、妙におかしい。自分の周囲の事象から読み取れるものの幅が広いという意味で、アンテナの鋭い人だなあ、と感心しました。
 あと、この著者の作品も含めた、具体的に日本国内の地名を挙げて舞台とした小説で感じる方言の問題って、書く側にとっても、悩みの種だったりするのだなあということが分かったので、『鹿男あをによし』の感想メモで勝手なこと言ってすみませんと思いました。読み手である私がもっと受け取り方を訓練したほうがいいのかも。【Amazon.co.jp】


雨宮処凛『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版,2007年3月)
 いわゆる「ワーキングプア」層を含む、不安定なかたちで雇用されている人たちの事例がたくさん出てきます。これだけいろんなケースを並べられると、たしかにただ単に不運が重なったとか、ちょっとばかり人生における選択が不器用だったとかってだけで、いきなり生存が危うくなるところまで行っちゃう事態を、「自己責任」という言葉で片づけられちゃう社会は、不健康で余裕がなさすぎるのかもって、力技で納得させられる。あと、私自身も、いつなんどき、不運と要領の悪さ(どっちについても、けっこう自信アリ!)がドンピシャのタイミングで重なって転がり落ちていくか、分かんないよなあ……と、すごく怖くなった。そういう不安を、真の意味で抱えずに済んでいる一般庶民って、どれだけいるんだろうか。【Amazon.co.jp】


伊地知晋一『ブログ炎上 Web 2.0時代のリスクとチャンス』(アスキー,2007年3月)
 うちなんかは、そもそも注目され度が低いので、あんまり縁のないお話なんですが。基本的には、ネット上でのやりとりって要するに、昔のパソコン通信やニュースグループ、もう少しあとの時代のウェブサイト掲示板などでのハンドリングと同じ方針でやっていいんじゃないかってことだよねえ。ネットに参加している層が拡大しているだけで。
 「炎上」の語源、私はてっきり、十数年前にニュースグループなどで言われていた「フレーミング」(flame=炎)の訳語だとばかり思っていたんだけど、そういう話は出てこなかった(大手個人ブログでこの単語が使われたのが最初、みたいな紹介の仕方)のが意外。【Amazon.co.jp】


以下、漫画です。


作:城平京,画:水野英多『スパイラル・アライヴ』4〜5巻(ガンガンコミックス,2008年3月/2008年9月)
 完結したと聞いたので最終巻である5巻を先に読んじゃって、感想メモを書く際に過去の読書メモをチェックしたら、実は4巻を読んでなかったことに気付きました。まったく違和感なく私の脳内で3巻からストーリーが続いていたのは何故だ(笑)。慌てて4巻も読みました。「超人」という設定になっている鳴海清隆が、敵も味方もけむに巻きつつ先手先手を打って本編『スパイラル〜推理の絆〜』の幕開けまでをお膳立てしていくさまを楽しむ漫画――という受け止め方でよかったんでしょうか? 思えば最初の頃は苦手なタイプの絵柄だと感じていたんですが、描線がキレイで人物の動きに躍動感があるので、意外と抵抗なく読めちゃって今ではかなり好き(初期の頃と現在とでは、水野さんの絵がかなり変化していることもたしかなんですが)。
 そして突然ですが、本編とこのスピンアウトをすべて読了した今、私の「好きキャラNo. 1」は火澄くんだということを、ここで宣言しておきます。って、なぜそんな宣言の必要が(それはこの漫画本の本来の持ち主である夫に「歩くん好きでしょー」的なことを言われるから……たしかに歩くんもいろいろツボだが!)。【Amazon.co.jp】


ゆうきまさみ『鉄腕バーディー』20巻(小学館ヤングサンデーコミックス,2008年10月)
 こっちも完結の噂を聞きつけて「おお!」って思ったんですが、えーと、今までの掲載誌が廃刊になったのでとりあえず強引に終わっただけなんですね? 次はタイトルを変えて他誌で続行とな! というわけで、ストーリー的にはまったく決着が付いていませんが、20巻目にしてようやく、つとむくん側の友人ふたりがバーディーたちの事情を知るところとなりました。これからどうするんだろ。【Amazon.co.jp】


益田ミリ『結婚しなくていいですか。 すーちゃんの明日』(幻冬舎,2008年1月)
 6月に読んだ『すーちゃん』の続編。やはりシンプルでほのぼのと言っていいくらいの絵柄なのに、時たまドキッとするくらいに、生々しくリアリティのあるセリフが。タイトルはこんなだけど、同じようなことを感じて立ちつくしそうになったり、それでもじっと唇を引き結んで人生を一日一日、進めたりしている人は、結婚している人にも多いのではないか。悪気のない言葉に含まれる棘に気付くことのできる繊細さは、時に生きにくさにもつながるんだけど、それでもそこを鈍らせないで、ちくりと傷つけたり傷つけられたりの日々を、そしてまだ遠いようで意外と近そうな気もする、本気で考え始めると八方塞がりなのかもしれない未来への不安を、淡々と見つめながらささやかな楽しみを糧にやり過ごしていくのも、決して馬鹿げたことではないんじゃないかなあ、と思えてくる。【Amazon.co.jp】


今市子『百鬼夜行抄』第17巻(朝日新聞社,2008年10月)
 最も痛々しく感じたのは、飯島蝸牛の若い頃のエピソード「付け馬」。この人が、良心の呵責や責任感から、いくら能力があると言っても人間の手には余るであろうようなことに、そこまでやれとは誰も思ってないに違いないのに、どんどん手を出しまくってたおかげで、彼の死後になってまでいろんなものが残ってて、そのせいでその孫である律くんまで、本来の自分の素質によって巻き込まれたかもしれなかった状態以上の複雑な人生を歩むことになっちゃってるんじゃないか? でも蝸牛先生としては、そうしないではいられなかったんだよねえ。
 そんなこんなで、今回の収録作の中で、いちばんワタシ的に後味がよかったのは、律くんの大学生活が垣間見える「黄金の山」でした。なんていうか、律くんにとって、晶ちゃんや司ちゃん以外の、つまり「身内」じゃない人とのコンスタントな交流の場が、ちょっとでも確保できていると分かると、少しだけホッとするのですよ。たとえ律くん本人がそれを望んでいなくても。そしてたとえそれがやっぱり妖怪がらみの事件に発展してしまったとしても。【Amazon.co.jp】


白井恵理子『STOP劉備くん!』(メディアファクトリー,2005年11月)/白井恵理子『続・STOP劉備くん!』(2005年12月)/白井恵理子『続続・STOP劉備くん!』(2006年1月)
 三国志ファンである夫の蔵書から発見。「三国志」に時事ネタを絡めたほのぼの4コマ漫画。サブタイトルは「白井版三国志遊戯」となっています。「三国志」については初心者なのと、すでに記憶がおぼろげになってる時事ネタも多かったのとで(1991年に角川書店から刊行された同タイトルの本からの収録作が含まれているため、かなり古いネタあり)、ピンと来なかったギャグもあったりしましたが、なんだかんだ言って楽しめてしまいました。
 天真爛漫すぎる主人公・劉備くん(玄ちゃん)、ひがみっぽくて小心者の周瑜くん、脳みそ筋肉な不死身の馬超くん、うじうじブラコン諸葛瑾さん……みんな愛しいぞ! 諸葛孔明くんに作者の愛が注がれていて、彼だけあんまりお馬鹿ちゃんじゃないんですが、そのせいでガキンチョなヤツらに囲まれちゃって気苦労が絶えないのだな。わはは。引き続き、姉妹シリーズの『GOGO玄徳くん!!』を読むつもり。
 しかしこれ、どうやら初期の頃の4コマは『JUNE』で連載されてたみたいですね(最近のは『三国志マガジン』)。江森備の本の内容を知っちゃって孔明くんがショックでぶっ倒れるコマとか、うちの夫が意味分かって読んでたら、ちょっと怖いなあ(笑)。あ、私は高校生の頃に中島梓の『小説道場』を単行本で読んでいたので(江森備はたしかこれに作品を応募してデビューしたはず)、江森版三国志の雰囲気だけはなんとなく分かっていると思う。正【Amazon.co.jp】続【Amazon.co.jp】続続【Amazon.co.jp】

Posted at 18:52 | 個別リンク用URL | コメント (4) | トラックバック (0)

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All texts written by NARANO, Naomi.