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2008年11月27日

雨宮処凛+萱野稔人『「生きづらさ」について 貧困、アイデンティティ、ナショナリズム』

読了本 | 書籍・雑誌

「生きづらさ」について


光文社新書(2008年7月)
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一見、社会と隔絶したようなところで精神的に追い詰められている人も、本当は社会と無関係ではないんだよねえ。精神論だけではどうにもならない部分を、社会のしくみとしてサポートできればいいんだけど、いまの世の中は、少なくとも体制側からのアプローチとしては、どんどん反対方向に行っているみたい?

そういう自分は、そこまで追いつめられたことはなく、かといって持ち出しで何かできるほどの余裕もないという状況なので、あれこれ言う資格ないのかもしれないけど。とりあえず、最初は図書館で借りて読んだんだけど、この本の収益の一部が相互扶助団体への寄付金になるということだったので、タダ読みは申し訳ない気になって読了後に改めて買いました。

あと、著者の一人である萱野稔人さんは私と同じ1970年生まれなのですが、はっきりとご自分をいわゆる「バブル世代」の外に置いた発言をなさっていて、我が意を得たりな感じでした。

1971年以降生まれがバブル崩壊後の就職氷河期世代とされている場合がけっこう多い気がするんですが、大卒以上で70年生まれは実質、崩壊世代寄りだよなあ、といつも納得いかない気持ちを抱えていたのですよ。とはいえ、私と同学年だと、まだやむを得ずフリーターになるんじゃなく、好きでフリーターを選ぶ人がかなり散見されていたのも事実。

Posted at 11:34 | 個別リンク用URL | コメント (0)

2008年11月28日

小倉千加子『オンナらしさ入門(笑)』

読了本 | 書籍・雑誌

オンナらしさ入門(笑)


理論社(2007年4月)
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ヤングアダルト世代を対象とした人生指南書(?)「よりみちパン!セ」というシリーズのなかの1冊。取り上げられているのは、いわゆるジェンダー論ってやつですね。

うーん、これは、どうなんだろうなあ。この世に「女の子」として生まれたその瞬間から、親や世間によって「男の子」とは違う道へと、意識的そして無意識的に誘導されていく女の子たち。そしてまた、子どもに対して真っ先に影響力を行使する「お母さん」も、かつては同じような誘導を受けてきた「女の子」だったのだ……。

なんかねえ、すごく息苦しい。女の子が、周囲から押し付けられただけじゃない、本心での欲求を満たすためには、はねのけなければならないものが山積みなんだよってことを、執拗に執拗に言い募られている感じ。最後の最後になって、はねのけるという選択肢はちゃんと可能なんだよって言ってはくれるものの、そこまでの道のりが、これ読んでると、あまりにも遠く感じられてしまう。

理屈として、そういった「世の中のしくみ」を若いうちに知っておくことは、たしかに武器にはなるかもしれないんだけど、諸刃の剣って気がするんだよなー。

立ちはだかるものの正体を知らないでいるからこそ、がんじがらめになる前に果敢に挑戦できるって面もあるわけで。大人になってからなら、自分なりにいろいろ見極めをつけて折り合いもつけられるんじゃないかって思うけど(その結果、ある意味、妥協した生き方になっちゃうとしても、それはそれで自分の選択ということで)、私が10代の頃にこれ読んでたら、勇気づけられるよりもまず、大人になっていくにつれて直面しなければならないとされる、世代を超えて連綿と受け継がれてきた問題のあまりの根深さを突きつけられた結果、まずは絶望して身動きとれなくなっていたんじゃないか、みたいな気がします。

自分に娘がいたとして、心が柔らかいうちにこれを読んでほしいかというと、微妙。その子の資質によるよね。うまく消化できさえすれば、社会に出る前の段階でこういった視点もあるって明確に言語化されたかたちで認識しておくことによって戦略的に人生を歩めるのかもしれない。

Posted at 01:37 | 個別リンク用URL | コメント (4)

2008年11月29日

『レッドクリフ Part I』

映画・テレビ

2008年/アメリカ・中国・日本・台湾・韓国/145分

原題:赤壁/Red Cliff
監督:呉宇森(ジョン・ウー)
出演:梁朝偉(トニー・レオン)、金城武、張震(チャン・チェン)、林志玲(リン・チーリン)、張豊毅(チャン・フォンイー)ほか

公式サイト:http://redcliff.jp/index.html

観に行ったのは公開翌日の11月2日だったんですが、ずっと感想をまとめられないままでした。もう諦めて、鑑賞直後のメモをほぼそのまま出しておくよ。

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Posted at 20:55 | 個別リンク用URL | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月30日

妹尾ゆふ子『翼の帰る処』上・下

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翼の帰る処(上)翼の帰る処(下)

〈上〉幻冬舎 幻狼ファンタジアノベルス(2008年10月)
上【Amazon.co.jp】

〈下〉幻冬舎 幻狼ファンタジアノベルス(2008年11月)
下【Amazon.co.jp】

ここ最近、ノベライズのお仕事が続いていた妹尾さんの、久々のオリジナル作品。旧作ともつながりがあると思われる別世界ものファンタジー。しかも上下2巻。嬉しい。

相変わらず、“こちら側”とは異なる架空の世界における、自然の条理や社会のなりたちの設定と描写がとても緻密で、読み進むにつれてあらわになってくるそれらの構造に胸が躍ります。人やその他の生き物の気配、空気の温度や地面の匂いまでが、ふっ……と活字から立ちのぼってきて鮮明に知覚されるような。

そして今回は、主人公が……「隠居願望のある病弱な童顔36歳」というプロフィールからは想像できないくらいにすっごい素敵でびっくり。時に空気を読まずに正論吐いちゃう朴念仁で、自分に対する周囲の評価にはめいっぱい鈍感で、できれば淡々と平凡に暮らしていたくて、なのに自分の目に入るトラブルを見過ごせなくて、しかもそれを実際なんとかできちゃうくらいに頭が回って有能な人。だけどその過程ですぐに発熱してぶったおれちゃうわ妙に生への執着が薄いわで、結局まわりをハラハラさせちゃう人。飄々としてどっか普通と感覚がズレてるこの人の視点で物語が進むので、シリアスな展開の中でも、ぷはっと脱力して笑ってしまう個所がちょこちょこ入って、緩急がついています。

彼が副官としてサポートする、気性のまっすぐな男まさりの皇女さま14歳も可愛らしく、また苛烈な運命に立ち向かおうとする姿が凛々しくカッコいい。年齢差があるだけに、今後もわかりやすい関係にははまり込みにくいかなあとも思いますが、このふたりのたしかな信頼関係と、ときおり流れる微妙であいまいな空気も微笑ましい。

すでに続編も予定されているようなので、この人たちがどういう道をたどるのか、非常に楽しみ。

Posted at 08:41 | 個別リンク用URL | コメント (0)

2008年11月に読んだものメモ

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調子がいいときなら絶対おもしろく読めたはずだと思うのに、なぜか気が乗らなくて途中でくじけてしまった本が何冊もありました。いつかきっと続きを……。


雨宮処凛+萱野稔人『「生きづらさ」について 貧困、アイデンティティ、ナショナリズム」(光文社新書,2008年7月)
 感想メモはこちらに移動しました。【Amazon.co.jp】


青木祐子『恋のドレスと薔薇のデビュタント』(集英社コバルト文庫,2006年7月)
 7月に読んだ2冊のつづき。相変わらず、主役ふたりの関係は、1冊ごとに、ゆっくりゆっくりとした進展具合。でも確実に、変わっていくものはあって。ところで、やさしくふんわりきれいな品のある、雑念なしにきゅんきゅんできるラブストーリーが読みたいなあという気分になったときに、大人向け小説でその需要を満たすものにほとんど出会ったことがないのは、私の探し方がよっぽど下手なんでしょうか。それとも、私のラブストーリーに対する嗜好がティーン時代のまま凍っているんでしょうか。【Amazon.co.jp】


小倉千加子『オンナらしさ入門(笑)』(理論社,2007年4月)
 感想メモはこちらに移動しました。【Amazon.co.jp】


重松清『加油(ジャアヨウ)……! 五輪の街から』(朝日新書,2008年10月)
 今年の夏に北京で行われたオリンピックの時期に合わせて中国に渡り、一般的な報道とは別の視点で取材した、中国の市井の人びと。ポジティブな感情もネガティブな感情も正直に綴られていて、とても個人的であると同時に、フェアなレポートでもあると感じました。【Amazon.co.jp】


妹尾ゆふ子『翼の帰る処』上(幻冬舎 幻狼ファンタジアノベルス,2008年10月)
妹尾ゆふ子『翼の帰る処』下(幻冬舎 幻狼ファンタジアノベルス,2008年11月)
 感想メモはこちらに移動しました。
 上【Amazon.co.jp】下【Amazon.co.jp】


以下、漫画です。白井恵理子月間になっとる……。


白井恵理子『GOGO玄徳くん!!』(メディアファクトリー,2006年2月)
白井恵理子『続・GOGO玄徳くん!!』(メディアファクトリー,2006年3月)
白井恵理子『続続・GOGO玄徳くん!!』(メディアファクトリー,2006年5月)
 先月、同居人A氏(このシリーズの「雑兵A」みたいだよなー、この呼称)から借りて読んだ『STOP劉備くん! 白井版三国志遊戯』の……姉妹編って言っていいのかな? こっちのサブタイトルは「白井式プチ三国志」。やっぱりみんなかわいいよなあ。これだけ同じ元ネタ(「三国志演義」内の有名エピソード)を何度も使いつつ、毎回違うギャグに収束させて、しかもキャラの性格にブレがないのはすごいや。正【Amazon.co.jp】続【Amazon.co.jp】続続【Amazon.co.jp】


白井恵理子『劉備くん!リターンズ!』(メディアファクトリー,2007年1月)
 ついに、同居人A氏の本棚にあった『STOP劉備くん!』と『GOGO玄徳くん!!』だけでは我慢できず、その後に出たやつも自分で購入してしまいました。この巻は、いつもとはちょっと毛色の違う「サラリーマン編」も楽しめます。サラリーマンになっても、各キャラの性格はそのまんまで嬉しい。おまけの陰陽師パロは、私が元ネタをよく知らず、ちゃんと楽しめなくて残念でした。【Amazon.co.jp】


白井恵理子『劉備くん '08春 桃園畑でつかまえて』(メディアファクトリー,2008年2月)
 このシリーズ、読むたびに一番好きなキャラが変わってしまうのですが(つまり結局、どの子もかわいい)、馬超と姜維のコンビは一貫して大好きだなあ。ところで、今までこのシリーズの著者あとがきは、漫画本編とはずいぶんギャップがあって、どう受け止めていいのか分からないときがあるぞって思っていたけど、この巻にはそのあとがき自体が存在せず、それはそれでさびしかった。【Amazon.co.jp】


白井恵理子『劉備くん それゆけ赤壁オリンピック』(メディアファクトリー,2008年11月)
 ちょうど発売されたばかりの最新刊。サブタイトルを見て、さぞかしオリンピック系の時事ネタが……と思ったけど、そうでもなかった。むしろ今月公開された映画ネタともども、これから出てくるかな? それとも、あまりに短命なネタになりそうで敢えてスルー? そんなこんなで、最近は「コミック三国志マガジン」の連載までチェックしているよ。そうそう、前の巻を読んでさびしいなあと思っていたら、今回はちゃんとあとがきも各章冒頭の作者コメントも復活していて嬉しかったです。帯の「誰も死なない三国志天国がココにある!」というコピーは、非常に的確だと思いました。ていうか、みんな死んじゃっても意に介さず登場してるだけって話もあるんだけど。【Amazon.co.jp】


よしながふみ『きのう何食べた?』第2巻(講談社モーニングKC,2008年11月)
 継続的にご飯を作っている人なら誰しも必然的かつわりと無意識的にやっている、手持ちの食材を使いきるための脳内での複数日にわたる献立作りって、そのまま活字に起こすとこんなにくどいのか……と。コマがふきだしで埋まっとる(笑)。ちょっとした手順の描写などが、他人の家の台所をリアルに覗いている感じで楽しい。【Amazon.co.jp】


惣領冬実『チェーザレ 破壊の創造者』第6巻(講談社モーニングKCDX,2008年11月)
 史実にないオリジナルの登場人物(なんだよね?)であるアンジェロが、この巻で語学やお作法の勉強をし始めているのは、主役チェーザレが大学を出たあとも、この二人が接点を持ち続けられるように(つまり、これからもアンジェロをメインの視点人物ポジションに据え置くことができるように)なんだろうか……などと、うがったこともちらりと考えてしまったり。とにかく、突出した才能とカリスマ性を持ちつつ、置かれた境遇ゆえにどこか歪んだものを感じさせる若きチェーザレが説得力を持って魅力的に描かれていて、つづきが楽しみです。【Amazon.co.jp】

Posted at 21:00 | 個別リンク用URL | コメント (0) | トラックバック (0)

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