覚書目次前へ次へ虫干し部屋 indexHOME

指輪映画私的覚書〜「旅の仲間」篇〜 [3] (2002.3.16)

3. キャラクター〜ホビット〜


フロド・バギンズ(イライジャ・ウッド)


 フロドがこんなに可愛らしかったとは(笑)。でもまあ、主役だから、映画としてはやっぱりビジュアルに美しくあってくれたほうがね。


 原作ではホビットの成人年齢である 33 歳で指輪を受け継ぎ、その魔力で外見的な加齢が食い止められたまま 50 歳のときに旅に出たフロドですが、映画での出発は、多分成人直後。精神的にも、人間で言うハタチくらいですか。映画でのフロドが原作より未熟な印象なのも、指輪の重圧に苦しみ戸惑う部分が強調されて共感を呼ぶという意味では、プラスに働いている気がします。見ていてよけい辛いけど。戦闘面での活躍が原作より減らされて(というか、全然なかったような)いるのも、物語の中における彼の「指輪を運ぶ」という役割に焦点を絞っているからかな、と思いました。その代わり、モリアの扉の謎、フロドが解いてましたね(原作では、ガンダルフが自分で気付く)。一個くらい目に見える「お手柄」がないとってところでしょうか。




サム(ショーン・アスティン)


 サムがバギンズ家に仕える庭師であるという直接的な説明がなかったのは、ちょいと不満。映画設定では使用人じゃないのかしら、とも思ったのですが。パンフには「親友」としか書いてなかったし。(3/17 追記:すみません、パンフでもあらすじ紹介では「庭師であり親友のサム」って書いてありますね。バギンズ家に雇われている……とは書いてないけど。キャラ相関図では「親友」とあるのみ。)


 身分が下であることは、フロドを "Mr. Frodo" と敬称付きで呼ぶことで分かるかもしれませんが、庭関係の仕事をしているのは、バギンズ家の軒先で立ち聞きしていてつかまったときの「草を刈っていた」という弁解と、薬草を探すアラゴルンの手伝いをするのが彼だけであるという事実から、かろうじてうかがえる程度。実際、原作未読の方の感想をネットで見ると、サムがなぜフロドに対して敬語を使うのかが分からない、という意見がいくつかありました。吹き替え版では、元の英語スクリプトにはない「庭師のサムじゃな!」(by ガンダルフ)というセリフを挿入することと、サムからフロドへの呼びかけに「若旦那」という語を使うことで理解を促しています(これは良い判断だったと思う)。字幕への風当たりが強いようですが、これに限って言えば、そもそもの英語脚本も不親切だよー。元セリフにはっきり "gardener" と出てきてたら、混乱はなかったわけだから。あるいは、立ち聞きじゃなく本当に庭仕事をしているカットを一瞬でも入れてくれるとか。


 でもちゃんと旅の荷物には料理道具一式が含まれていたり(その中のフライパンでオークをぶっ叩いていたり)、泣かせどころではちゃんと泣かせてくれたりするので、基本的には満足。原作と比べるとセリフが少ないですが、影の主役と呼ばれるほどの見せ場は第 2 部以降だしね。ショーン・アスティンはこの役のためにわざわざ体重を増やしたそうですが、ちょっとぽてっとしたかんじが、愚直だけど誠実で芯の強いサムにぴったり。




メリー(ドミニク・モナハン)&ピピン(ビリー・ボイド)


 今回は、まるっきり「ふたり一組」の扱い。彼らも見せ場は第 2 部以降なので、これから頑張ってくれるでしょう。年齢設定、下がっているのだろうか? 原作ではピピンだけが成人前だったと思うのですが、映画のこいつらは、二人とも悪戯坊主モード全開(笑)。花火を盗んだり野菜を盗んだり。しかし映画でもちゃんと「しっかり(ちゃっかり)メリー」と「うっかりピピン」のコンビでした。モリアから脱出したときも、泣き崩れたピピンを、メリーが自分も泣きながら膝まくらして支えてましたね。やはり映画でもメリーのほうがお兄さんか。1 回目に観たときは、言動(うっかり or しっかり)と服装(マフラー or 黄色いベスト)以外ではこの二人を見分けられなかったというのは内緒だ。


 ただ、これも脚本への不満になってしまうのですが、このコンビがフロドたちについてブリー村へ行く過程が、あまりにも「巻き込まれただけ」というかんじで(原作では、彼らは最初からこっそり事情を調べて、覚悟決めてます)。だから御前会議での「ぼくたちも行く!」発言が原作より軽くなってしまってるような。「で、どこ行くの?」(by ピピン)だし(笑)。あ、映画ではとりあえず「お笑い担当」ということで、これでいいのか?




ビルボ・バギンズ(イアン・ホルム)


 おじいちゃんになった『ホビットの冒険』の主人公。本当に「ああ、ビルボだあ」ってかんじでした(どんなんや)。元来の善良さと、指輪に蝕まれた精神とがせめぎあうさまが、すごくリアルな演技だった。裂け谷のアレは驚いたが。



→ 4. キャラクター〜ボロミア〜

覚書目次虫干し部屋 indexHOME