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指輪映画私的覚書〜「旅の仲間」篇〜 [6] (2002.3.25)

6. キャラクター〜レゴラス(オーランド・ブルーム)〜


 目を奪われました。日記でも書いたとおり、気が付いたら自分の視線が勝手にレゴラスを追っていました。とにかく、動きがきれい。身軽さの表現がー。カラズラスではほかの皆が雪を掻き分け掻き分け埋もれながら進む傍らを、一人沈みもせずスタスタと歩いていたり、モリアでは崩れた階段の裂け目で、躊躇するほかのメンバーを尻目に、かる〜く飛び越えてみせたり。


 そしてもちろん、華麗な戦闘シーン。弓使いでありながら、接近戦でも強い強い。強いうえに、素早い。しかも優雅さを失うことがない。


 が。冷静に考えてみると、今回の映画の中でのレゴラスの扱いは、実はそんなに大きくありません。セリフも少ないし、アップで映った場面もそれほどないのです。


 大体、「闇の森の王子様」であることさえ、映画の中では説明されてなかったような気が。エルロンドの御前会議では、突然アラゴルン擁護に立ち上がったりして「あなた誰?」なかんじでした。そんで当のアラゴルンに「座れ、レゴラス」とか言われてるし。


 ていうか!! なぜアラゴルンに対して初っ端から子分のような態度を取るですか映画レゴラス!? そしてアラゴルンは 2000 歳以上年上の彼に対してなぜそんなに威張っているんでしょうか!?


 映画のレゴラス、なんだかとっても真面目です。最初のセリフがあれだし。指輪の仲間結成時には、自ら志願したうえ弓にかけて誓っちゃったりするし。(原作ではたしか、彼が仲間に加わったのは「エルロンドに頼まれたから」および「帰り道と同じ方角だったから」というような理由じゃなかったか? ギムリもそうだけど。)旅が始まってからは、黙々と皆を助け、ロリアンで「エルフの強情っぱり」と言われるようなこともなく、敵が攻めてくれば、黙々と戦果を上げ。とにかく、一行の「サポート役」に徹しているレゴラス@映画。


 この真面目レゴラス、原作の彼のように、雪山で大の男二人がひーこらしているのをニヤニヤ眺めたあとびゅーんと追い越して手をひらひら振ってみせる、なんてイジワルなことは、絶対にやりそうにありません。変人度が大幅ダウン。むしろアラゴルンと並ぶ「常識の人」ってかんじです。ヒトじゃないけど。


 このままでは第 2 部でも、ほかの仲間に対して「子供たち」発言をかましたり、戦争が始まって皆がせっせと行軍しているときに「これが終わったらどこそこへ旅行したいねえ」などと言い出したり、なんか珍しいものを見たからといって引き返しかけて止められたり……というような、私が好きな飄々とした浮世離れっぷりは、発揮してくれそうにありません。いや、今のこの映画レゴラスのままで原作どおりの言動を取ってくれるなら、それはそれでときめくと思うけど。


 いやはや、私、自分がこんなにも「原作のレゴラス」を好きだったとは、気付いてなかったよ。映画を観てから、「レゴラスかっこよかったよなあ……でも、なーんか違うんだよなあ」と違和感を覚えて、つらつらと考えるうちに、段々と自分の中の「レゴラス像」が明確になってきたというか。そういう意味では、映画によってキャラへの思い入れが深まった、と言っていいのだろうか?


 思うに、この印象の差は、原作と映画とで性格設定が意図的に変更されたということではなく。とにかく、「弓の名手」という目に見える部分以外の特徴を突っ込んで描いてもらうには、あまりに彼の出番が少ないのですよ。3 時間の中に詰め込むべき、ほかの情報が多すぎて。ギムリとのやりとりもないし(ヒゲを引っ張ったくらいが、唯一のほのぼのシーンですか?←ほのぼの、でもないなあ)。きっと我らが王子様は、セリフも出番もない画面の裏で、定命の者どもには考えも及ばぬような、超越したことを考えていらっしゃったのに違いないのです。そう思うことにしよう。しくしく。


 正直言って、非公式スクリプトを読んで、彼のセリフのあまりの少なさに驚きました。だって、映画を観たあとでは、ものすごくレゴラスの印象って、強かったんだもの。それは結局、レゴラスを演じたオーランド・ブルーム本人に「華がある」ということなのかも。無言で画面の端に出てきただけでも、その一挙手一投足だけで観客の目を引き付けてしまえるほどに。そしてそれは、「エルフ」の役作りとしては、非常に正しい。この世界のエルフとは、そういう種族なのだから(闇の森のエルフって、ちょっとほかとは違う気もするが)。きっと、もう一度観に行っても、私はレゴラスに目を奪われてしまうに違いありません。


 でも、だからこそ。第 2 部以降では、せめてギムリとの凸凹コンビぶりをなるべくたくさんお願いしますよ監督! 首取り合戦くらいは、原作どおりにやってくれそうかな?



→7. キャラクター〜サルマン〜

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