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2007/01/30
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品冠さんのこと

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 品冠さん(なぜかいつも「さん」付けで呼びたくてたまりません)は、2000年のはじめまで、光良と一緒に「無印良品(台湾以外での呼び名は「光良品冠」)」というデュオ・ユニットを組んでいた人です。


 アルバム『想見[イ尓]』の感想ページでもちょこっと書きましたが、光良が目当てで購入してみた無印良品のCDで初めて品冠さんの歌を聴いたとき、私は「うわ、この人、めちゃくちゃうまい! それに、すっごい美声!」と、やられてしまったのでした。なんていうかねえ、すごく「正当派」なかんじ。どの曲でも、しっかりした基盤の裏付けを感じるというか。


 光良だと、小細工なしにただただ「ストレートでひたむき」な歌い方をしているときに一番「らしい」と感じるのに対して、品冠さんは、どっしりとした線の太さをパワー全開にせず、「敢えて余裕をもって軽いかんじにコントロールしてみました」みたいな歌い方のときが、とりわけ素敵だと思います。軽妙さと洒脱さの中に、人間味がにじみ出て。声質も、光良が「透明で伸びる」声だとすると、品冠さんは「深みがあって柔らかく響く」声ですね。


 あと、なんとなく、光良よりも守備範囲が広そうなイメージ。どんな曲を歌えと言われても、ちゃんと自分のものにして、そつなくこなしそう。この「そつがなさそう」というのが、アーティストな人にとって褒め言葉になるかどうかは、微妙ですが。オリジナリティ勝負の世界だと、なんでもけっこう如才なくできちゃうせいで、かえって損ってことだって、ありそうですよね。


 ちなみに、光良はそれに比べると、歌を聴いただけの勝手な印象ですが、ちょっと不器用というか、頑固そうなイメージがあります。自分のよさを発揮できる曲はこういうの、という自覚の方向性がハッキリしていて、一途。この手の人は、いったん波に乗ると、あとは強いんじゃないかしら――というか、「童話」以降の現状がまさに、波に乗ってる状態?


 閑話休題。とにかく、品冠さんのことは、聴いた瞬間「うまい!」と思って、その後もずっと、その評価は揺らぐことがありませんでした。特にね、DVDで観た無印良品時代のライブ映像での品冠さんが、ものすごくカッコよかったのです。ギターをかまえて弾き語りしているところなんて、後光が射して見えますよ。技術があるって、強いなあ。余裕しゃくしゃくで、演奏中でも客席からの呼びかけにしっかり反応しながら、まったく迷いがなくて、安定してる。聴いていて、ものすごい安心感。


 失礼ながら、パッと見は光良同様、決して一般的感覚における美形キャラではないと思うのですが、ほんと、歌っている品冠さんは文句ナシにカッコいい。デュオやってた頃にこの2人の存在を知っていたら、私は品冠さんのほうを贔屓していたかもしれないな、と思ってしまうほど。ソロになってからの品冠さんのライブ盤DVDとかも、出てたらいいのになあ。というか、光良だけでなく、品冠さんも、実際にライブ聴いてみたいなあ。むしろ、もし本当に行けたらドキドキするあまりうろたえてしまいそうな光良ライブよりも、品冠さんのライブなら純粋に心の底から音楽を楽しめそうだ(おい)。まあ、どっちにしても来日……なさそうだよね(ため息)。


 光良は、(少なくとも私の個人的な好みでは)ソロになってからのほうが断然よいのですが、品冠さんは、昔からコンスタントにいい味出してたと思います。そういう意味では、デュオ解散によって、より大きい恩恵を受けたのは(「一皮むけた」のは)、光良のほうなのかもしれません。


 一方、ソロになってからの品冠さんも、光良ほどがらっと変化して突き抜けたかんじはしないけれど、美声にも歌唱力にもさらに磨きがかかっていて、聴き入ってしまいます。先入観による思い込みはあるでしょうが、結局どちらも、CDで聴いているかぎりでは、ソロになってからのほうが、のびのびとそれぞれの持ち味を活かして歌っているような? 解散は自然の流れだったのかも。


 でもやっぱり、デュオ時代のこの2人、両方とも、好きだなあ。一緒にやろうと思ってくれた時期があって、本当によかったなあ。歌い方も声質も違う2人だけど、だからこそ、ぴたっと息があってハーモニーになった瞬間が、快感なのです。この頃に、知っていたかった。何より、一緒に歌っているさまが、とても楽しそうですよ。DVDやVCDで、2人でいろいろしゃべっているところなんか見ていると、年上であるはずの光良のほうが、なんだかやんちゃな弟キャラっぽい立ち居ふるまいになっていて、可笑しい。何を言ってるのかは、中国語が分からないのでさっぱりだけど。


 と、いうところで、いきなりですが、ソロになってからの品冠さんの曲で、特に私が好きなものベスト10(2007年1月現在)を挙げてみます。アルバム1枚1枚にコメント付けたいところですが、光良のアルバム感想さえまだ全部は書けてない現時点でそんなことしたら、『想見[イ尓]』の感想のときにも増して、いよいよ「ここは品冠さんのファンサイトなの?」みたいなことになりそうなので、自粛(笑)。


 あ、私が持っているのは、『疼[イ尓]的責任 (2001)』、『U-Turn 180゜轉彎 (日本盤:U-Turn) (2002)』、『門沒鎖 (日本盤:鍵、あいてるよ/門没鎖) (2004)』、『後來的我 (日本盤:それからの僕) (2005)』、『愛到無可救藥 (2006)』の5枚です。



***



(好きな曲ベスト10:収録アルバム発売年順、トラック番号順)


「分不開的兩個人」(『疼[イ尓]的責任』他 収録/邦題「別れられない二人」)
〔作曲:劉志宏/作詞:劉思銘〕 伴奏部分のモチーフとしてワーグナーの結婚行進曲を使っているのが面白いんですが、歌詞(訳詞)を読むと、タイトルとは裏腹に、お別れした遠い人への想いを歌っているのですね(笑)。

「最想念的季節」(『U-Turn 180゜轉彎』収録/邦題「いちばん懐かしい季節」)
〔作曲:小渕健太郎/作詞:陳沒〕 原曲は、コブクロの「風」。コブクロって意識して聴いたことなかったんですが、ラッキーなことにちょうど去年ベスト盤が発売されたらしく、CD屋さんの視聴コーナーに置いてあったので、この1曲だけチェックしてきました(←せこっ)。なるほど。品冠さんバージョン、歌詞内容は違うものの、歌い方とか、オリジナルの曲調はちゃんと尊重しているかんじ。品冠さんの真面目さを感じました。でもやっぱり、品冠さんの歌にもなっているんだよなあ。どちらもそれぞれによい。

「桃花」(『U-Turn 180゜轉彎』収録/邦題「桃の花」)
〔作曲:品冠/作詞:阿管〕 メロディのきれいさと、品冠さんの声のやさしさで、すーっと心に入ってくるような。思わず一緒にリズム取って身体を揺らしたくなるんですが、訳詞を読むと、やっぱりというべきか、失恋の歌ですねえ(苦笑)。

「門沒鎖」(『門沒鎖』収録/邦題「鍵、開いてるよ」)
〔作曲:梁偉豐/作詞:李志清〕 上にも書いたように、品冠さんは、軽やかさのある曲調の歌が、とてもよい。これは品冠さんにしては、アップテンポなリズムに乗った曲で、某通販サイトの顧客レビューでは「ありきたり」と評判がよくなかったりしたのですが、私は気に入ってます。歌詞を読んだら、余計に。部屋で待ってるけど、彼女が来てくれない……という寂しさを表現するのに「(誰でもいいから)入ってきて、蟻でもいいよ」みたいなこと言っちゃう。蟻でもオッケーなのか! こういう自虐的なユーモア込みの歌を、さらっと明るく、でも詞のほろ苦さも殺すことなく歌えてしまう品冠さんが、とても好きです。

「我的[ロ桑]音」(『門沒鎖』収録/邦題「僕の声」)
〔作曲:虞洋/作詞:虞洋〕 最初から自覚的に好きだったというわけではないのです。でも、このアルバムを仕事中のBGMにしていると、必ず毎回この曲のところで、無意識に手を止めて聴き惚れてしまっていることに、あるとき突然、気が付きました(笑)。どっちかというと、切々と謳いあげるタイプの曲で、「品冠さんの真骨頂は“軽み”にあり」と思い込んでいた私には、意外なことでした。でも本来、正真正銘の美声なんだから、こういう曲だってお手のものなんですよね。訳詞を読んだら、思いのほか絶望的な内容で、ちょっとびっくり。

「Annie's Song」(『門沒鎖』収録)
〔作曲:John Denver/作詞:John Denver (改変詞:汪佩蓉)〕 ジョン・デンバーの名曲をカバー。歌詞も原曲の英語のままですが、女性の声(汪佩蓉)とかけあいになるアレンジが入っています。実は、この女性パートが、上手いのは認めるにやぶさかではないんだけど、あまり好きでない(苦笑)。だって、もともとはすごくストレートにデンバーが奥さんへの愛を綴った歌詞なのに、この追加された女性パートの歌詞内容のせいで、ラブラブな夫と、違和感を抱いている妻……みたいな皮肉っぽいカップルすれ違いソングになってしまうんだよー(まあ実際、デンバーは、こんな素敵な愛の歌を捧げた奥さんと、のちに離婚しちゃったそうですけれどもね)。ただ、そこをさっぴいても、品冠さんが自分のパートを、あくまでも素直にストレートに原曲のイメージをくずさず、なおかつ品冠さんならではのテイストで誠実に歌いあげてくれてるので、しみじみと聴き入ってしまいます。
 そういえば、デュオ時代のライブ(「歌倆好 超級双頻演唱会」)の舞台裏映像で、リハーサル中の品冠さんが、お遊びでいきなりエリック・クラプトンの "Tears in Heaven" を弾き語りし始めるシーンがありました。こういうオーソドックスな洋楽、実は好きなのかなあ。あれも、わずか数秒の映像だったけど、とっても素敵でした! 通して聴かせてほしかった〜! 品冠さんのギター弾き語りで、洋楽スタンダード曲のカバー集があったら、絶対買うのに!! 本気で欲しい。それも音声のみのCDより、DVDやVCDで映像付きを希望!

「又一年又三年」(『後來的我』収録/邦題「一年そして三年」)
〔作曲:梁偉豐/作詞:黄元成〕 イントロの笛のような高音がそこはかとなく中華っぽくて(と、思うのは私だけかも)、「あれ?」と耳が目覚めるかんじ。そこからメインパートに入ると、さりげなく軽やかにテンポよく、バックコーラスもさわやかで、耳に残ります。品冠さんの曲には、一方通行な思いを綴った歌詞のものが多いんだけど、どれも切なさはあっても、まったく惨めたらしくはならない。

[才并]圖 」(『後來的我』収録/邦題「パズル」)
〔作曲:品冠/作詞:阿管〕 ひねったところのない、素直で穏やかな曲調。どこか懐かしいような。品冠さんが丁寧にやさしく歌ってくれると、しみじみします。アコースティック・ギターを前面に出した比較的シンプルな編曲も好き。

「Darling」(『愛到無可救藥』収録)
〔作曲:丁世光/作詞:李雙周〕 バッハの「G線上のアリア」を思わせるイントロ。そういえば、光良のアルバム『童話』に収録されている「海邊」も、「G線上のアリア」をベースにしているみたいですね。でも、まったく雰囲気が違う。現時点での最新アルバム『愛到無可救藥』の中では、これが一番気に入ってます。なんだかポップで可愛くて、ほんわりと幸せを噛みしめたくなる曲。(ただし、これはまだ国内盤が出ていないので、歌詞はむりやり解釈しています。実はものすごく誤解していて、本当は失恋の歌だったりしたらどうしましょう?)

「座右銘」(『愛到無可救藥』収録)
〔作曲:品冠/作詞:阿信〕 上述の "Darling" は別格として、今回のこのアルバムの収録曲は、どれも好き。品冠さんの持ち味を活かして、ほどよく軽妙でさわやかで、温かみも美声の聴かせどころも用意された優良ラインアップだと思います。ただ、そのためにかえって「特にこれ!」というものを選びにくい(笑)。この「座右銘」は、淡々と前向きな中に嫌味にならない程度の洒落っ気が混じりつつ、全体としては一本筋の通った雰囲気が印象に残ったので、ベスト10リストに入れてみました。歌詞はちょっと、哲学的?(いや、分かってないんですけど。)





背景素材 © MIYUKI PHOTO

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